4月。
秘封倶楽部に、一人の男の子が入って来た。
何故此処に?と聞いたら、
メリーの幼なじみだとかなんだとか。
ふむ、メリーを追いかけてきたのか。
その男の子は○○と言った。
その○○はとても面白い子だった。
私はメリー一筋だと思っていたが、それは所詮友達での感覚だったようだ。
○○に恋をしました。このわたしが。
…叶わぬ恋だと、遠くから傍観するつもりだった。
○○はきっとメリーの事が好きだ。
…そう思っていた時期がありました。
「ふう、着いた!」
メリーが旅行に行こう、と言ってきた。
懸賞を出したら見事に当たり、今こうして北海道の銀世界に立っている。
「綺麗ね、メリー、○○!」
本当に綺麗だ。しゃりしゃりと踏んでいく。
「蓮子ったら。おちつきなさいよ~」
メリーが遠くから呼んでいる。その隣には○○もいる。
あぁ、メリー。いいなぁ。
心のどこか芽生えた黒い気持ちをしまい、メリーと○○の所へ駆けた。
「スキー!」
チェックインし、部屋に入ったとき○○はそう言った。
私はうん?と思ったが、メリーは微笑んだ。
「そうやって突拍子もないこというの、変わってないわね。」
メリーと○○は笑う。私だけ取り残された気分。二人は、はたから見ればお似合いのカップルに見えた。
……壊してやりたい。粉々に。
次の日。
午前中からスキーをすることになった。
○○は経験あるようで、楽々と滑っていた。
上手。格好いい。
見惚れていると、隣にメリーが来た。
「かっこいい…」
そう呟いたのをききのがさなかった。
どういうこと?そういうこと。最初から分かっていた。
私は唇を噛んだ。…メリー、わたしは…
しばらく滑ると私もなれてきた。
でもメリーはなれないらしく、○○に教えてもらいながら滑っていた。
ーそこには私がいない。なんで?私じゃだめなの?ね、ねぇねえねぇ!!ー
心の影は、更に膨らんでいった。
少し吹雪いてきた頃。
○○が一旦飲み物を持ってきますね、と部屋に
戻っていった。
私達は、○○の誘導で綺麗な景色の見える崖にいた。勿論柵などがあり、安全だ。
「メリー。」
「なあに蓮子。」
「○○のこと…好き?」
「…何よ蓮子。どうしたの?」
微笑むメリー。とてもきれい。
「…真面目に、答えて。」
「え、あう、ん。好きよ?」
メリーは若干、怯えながら答えた。
「そっ、か。」
両思いか。そうか。よかったね。で?じゃあ私は?わたしはどうなるのここでどうしろとういうのめりーめりー、
たのしそうで、いいな。
「私が、すきなのに…」
私は気付けばメリーを押していた。
その軽い体は柵を越え、おちていった。
「…あ」
や、だ。メリー??メ、リー?
…ひひっ
「やったああぁっ!これでー、私の○○!私の物…!好き好き、好き!大好きッ!」
誰も居ない地に絶叫が響く。蓮子は今までためていた全てを吐き出すように叫ぶ。
後ろに愛しい人がいるのを知らず。
「蓮子…先輩?な、な、」
ぶるぶる震える○○。寒いのかな?
だったら温めてあげるよ。
ふらふら近づく。○○。○○。
「う、あああああ!」
ドンッ。
浮遊感。○○?私のこと初めて名前でよんでくれたね。やっぱり、私のことが一番だったんだ。
ねえ○○。大好きだよ!大好きっていってよ。
何で!?言ってよ言ってよー、
愛して、る。
ここで、意識が、途切れた。
愛の言葉を死ぬまでその少女は、うわごとのように言っていた。
最終更新:2012年07月23日 20:33