死して尚想うのもヤンデレなのかとふと考えた。
『クローゼットの心』
例えば世界が球ならば、それ以外は蚊帳の外になるだろうか。
さあ、それは解らない。
例えば世界が闇ならば、それ以外の光は別になるだろうか。
さあ、それはどうでしょう。
暗く丸く黒く、ぱくりと食べるみたいに闇を張ってみる。
あのひとは明るいのが苦手で、夜を好むから。心の色と同じで落ち着くって、そう言ってた。
食べちゃいたいな。
でも、それじゃもう会えないな。
だからね、こうやって包んであげるの。
暗く丸く黒く、まあるい闇のお部屋に、あなたとわたしだけ。
あなたの心の色で、わたしの世界の色で、ずっとずっとふたりぼっち。
落ち着きすぎちゃったかな。
居心地がよすぎたのかな。
あなたはわたしの膝枕で、息もしないで眠ってる。
もう離さないよ。
もう、話せないよ。
おかしいね、ずっとずっとふたりぼっちで、なのにこんなにひとりぼっち。
ねえ、起きてよ。
ある日のある村で、ある青年が死んだ。
その亡骸は宵闇の妖怪によって持ち去られ、そして妖怪も何処かに消えた。
とある奥深い森に闇の球体がぽつりとあると噂が立ったのは、それから暫く後の事。
その球の中からは、今も啜り泣く声が聴こえていると言う。
最終更新:2012年08月05日 14:18