雨で地面が汚れているというのに、しかも飛べるというのに飛びもせず、スキップしている奇妙な姿があった。
普通、雨が降れば服が汚れるだの、寒い、洗濯物が干せないとかマイナスなイメージしかないだろう。
だがそれは普通の人間の話。妖怪、唐笠お化けの小傘には当てはまらない。
特に最近は、雨の日に自分を傘として利用してくれる人物がいるのだ。
その人物は最初は妖怪だと驚いたものの、今ではすっかり軽口を叩きあう以上の仲になった。
だが、ただ一つ誤解があった。
一週間ぶりの雨が降った。○○が私を必要としてくれる。
○○は仕事の行きに一回、そして帰りにもう一回。傘として私を使ってくれる。
本当は雨の日以外にも会いたいが人間の世の中、『ぎぶあんどていく』だから雨の日以外の私はいらない子。
『ぎぶ』のできない私は本当にいらない子。おそらく口も聞いてはくれないだろう。
だけど『ぎぶ』ができてる間は○○は私を捨てない。かまってくれる。
○○の家に着く。○○は笑顔を向けてくれる。
仕事場に行っている間、ギュッと○○を抱きしめる。寒くないように。
○○は、嬉しそうに頬を緩ませた。
それは私が好きだから?違う。私は道具だから、温かいから頬を緩ませたのだろう。
所詮、私は道具。○○にとって便利な道具でしかない。
そう思うと、涙が出てくる。
泣いていることに気が付いた○○は心配してくれる。
でも、それはおそらく道具の点検と思ってやっているに違いない。
仕事場に着いた。○○とはここでお別れだ。
○○がかまってくれて、必要としてくれていることを再確認できて嬉しいはずなのに、涙がまた流れた。
ノリで書いた、勘違いネタ。
○○ーッ!早く告白してやれーッ!!
最終更新:2012年08月05日 14:55