私たちは、湖の周りなどでよく遊ぶ。氷の妖精や、夜雀、蟲妖怪や宵闇の妖怪など。
しかし、時々人間と出会う。人間が私たちに混ざるなんて。
しかしその人間は違った。私達に飴をくれた後、一緒に遊んでくれたのだ。
みんなその男がきにいった。その男は○○といった。
どうやらまた来てくれるらしい。
○○、○○。
口の中で転がす様に呟く。
面白い人間。

次の日。いつもは時々しか遊ばないが、○○が気になって遊びに行った。
お土産にスカートを受け皿に木の実をいっぱい。
四人は喜び、○○は大切にするよと頭をなでた。
その藍さまとは少し違う感触を橙は受け入れた。
○○が撫でてくれた感触が頭に残っていて、暫く私は頭に手を置いてにやにやしていた。

それから○○はよく遊びに来るようになった。
そのたびに私は木の実や時々藍さまがくれる外界のお菓子を持っていき○○に頭を撫でられた。
私はその、藍さまとはまた違う感触が酷く気に入っていた。
私が笑うと○○も笑う。
橙は○○に懐いていた。

時が経つと橙は○○を自分の物にしたくなった。愛的に。
しかし○○は自分を幼い子供としかみていないだろう。
困ったときは人より藍さまに聞け。
私は藍さまの所へ向かった。

「ふうむ…人間の男を自分の物にしたい、か。大人になったなぁ、橙?」
藍さまは頭を撫でながら微笑んだ。尻尾は絶え間なく動きその中の男をもふもふしている。
「橙。欲しかったら手に入れるんだ。どんな手段でも、な。ほら、式を付けてあげるから。頑張りなさい。」
藍さまにお礼を言い、私は○○のいる里へ向かった。


○○の家へはすぐ着いた。
何故って?○○の家へ行って遊んだ事があるからだ。
…あれれ。いない。どこだろう?
私は口を尖らせ里をうろつく事にした。

「つまらないな~。もともと○○に会うつもりだったし!…あれれ?」
○○を見つけた、しかし隣には女の人がいる。服装で、里の人間だとわかった。
……あの女、○○を好意的な目で見ている。
あ、今頬を染めた。あ、手を繋いだ。あ、○○…女の頭を撫でた。
私が受けるべきその愛情をー……あの、女。
イライラしながらみていると、

二人はキスをした。

頭が真っ白になる。何を、して。
そうこうしていると○○達は別れた。
私は反射的に女を追いかける。
細い道へ入った女を、捕まえ、私の鋭い爪で、ざりりと。
女は悲鳴をあげる間もなく死んだ。
私は肩で息をする。やったぁ。これで○○は私の物。私の物。私の物。
「あははははっ、きゃははははははははふぅ!」
最後に大声を出してしまったという失念で口を手で塞いだ。
しかし、遅かったようだ。

「…橙?」
○○が私の後ろに立つ。鳥肌が立つ。
でも、愛しい人という気持ちもあって嬉しい。
○○。一緒だよ。ずっとね。
私は○○に手を伸ばす。
「橙…?お前、が?」
「うん!ねぇ、○○、いー、」
一緒にいよう、と言おうとした、刹那。○○が私の首に手をかける。
そこで私も理性が飛んだ。

気づけば目の前は惨状。
○○?○○?
私は動かない亡骸に声をかける。
「ああああぁ、あああぅ?ねぇ○○おきておきて、」
動かない。もしかして、嘘?でも○○、私に手をかけ、あ、あああああぁ。
私が○○を、コロし、た?
「いやぁぁああああああ!?」

もし、もっと橙が大人なら、あのとき反撃しなかったでしょう。

壊れた猫が、細い道に死体と共にいたのを主が見たのは

また別のお話。

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最終更新:2012年08月05日 14:57