酒の魔力と徹夜のテンションで投稿
ツッコミ所満載かつ端折り過ぎと思う
長さは3レスぐらい
ゆゆ様がどうしてこうなったのか今の俺には理解できない



○○という男が幻想郷に迷い込んでから数ヶ月、外の世界へ帰る目処も立った冬の夜の事だった。
「こんばんは~幽々子
「紫……」
紫は親友である幽々子の頼みを聞くためにわざわざ冬眠を中断して白玉楼を訪れていた。
「人払いは済んでいるわ、妖夢も寝るように言いつけたし」
「それは重畳……さて、何かしら?」
そう言った紫にいつものような胡散臭い笑みを浮かべた。
「ええ……彼の帰ろうという決意は変わらなかった」
答える幽々子は普段のとは違い、危うい雰囲気を漂わせていた。
紫は何か異質なものを感じたのか、黙したまま続きを促した。
「だからね、私は考えて、考えて、思いついたのよ」
そこで言葉を切った幽々子の口元が弧を描く。
「彼も亡霊になればいいのよ、そうすれば外の世界には帰れない。
 嫌でもこの地に留まらざるを得ないわ、亡霊だから」
「……そうね、でもどうやるの?」
「彼が帰るその日に誘うわ、事故に見せかけてね。
 それから屋敷の使用人達に暇を出すわ、当然妖夢もね?
 誰かに知られて閻魔様でも来たら大変だわ。
 だから紫……協力して頂戴?」
そう言うと同時に紫を取り囲むように反魂蝶が現れ、ゆらゆらと舞い始めた。
紫は愕然として幽々子を見つめたが、その瞳に光は無く、墨染のように真っ暗だった。


千年来の友人の変貌に驚いていた。
何が彼女をそこまで変えたのか、○○と彼女が顔を合わせ、会話したのは宴会の席程度。
……箱入り、だからかしらねぇ?
死霊を操る能力を持っていた為、人と交流を持つことなく若くして死を選んだ幽々子。
亡霊となっても冥界に訪れる者などなく、異性の知り合いなど先代庭師ぐらいしかいないであろう幽々子。
不安と嫌な予感を感じつつも、親友の頼みは断れず、紫は彼女の計画を手伝うことにした。
少なくとも、彼女は現時点で失うものはないはずだから。


妖夢は突然の暇に戸惑っていた。
曰く、自分が連れ戻しに来るまで白玉楼に立ち入り禁止。
門前で呆然としていたのを紫がマヨヒガに招き、その言葉に甘える形でゆっくりと思考できる程度にくつろいでいた。
妖夢は自惚れかもしれないが、紫の次に幽々子から信頼されている人物だと自分で思っている。
そんな自分にも関わらせない用件とは何なのだろうか……
思わずため息を一つ、空を見上げても答えは出ず。
悩んでいても仕方ないと見切りをつけ、日課の鍛錬を始めた。


ある晴れの日、博麗神社には一人の男を見送る為に数人の人妖が集まっていた。
「んじゃ……数ヶ月間お世話になったな、霊夢」
「そうね、代価として次はお茶とお賽銭持って来なさいよ」
見送られる側の○○は礼を、見送る側の少女達は少しばかりの寂しさを誤魔化す皮肉を言い交わした。
似たやり取りを数度繰り返し、○○は境内から鳥居をくぐり、外を目指す。
聞いた話ではまっすぐ、振り返る事なく歩き抜けば外の世界に帰れるという事だった。
頭を過ぎるのはたった数ヶ月間だが、間違いなく今までの人生の中でもトップクラスになるであろう日々の事。
それらの思い出はこれからの時間に希望を持たせるだけのものがあった。
浮かれていたからだろうか、目の前に蝶がまっていた事に気付かなかったのは。
それに触れ、足を踏み外し頭から階段を転げ落ちていっても仕方なかったのだ。
幽雅な蝶が消える前に、クスリと哂った。


○○が死んだ、あんなにもあっけなく。
あの時、その場にいた鴉天狗や普通の魔法使いによって永遠亭まで素早く運ばれたが、手遅れだった。
薬師は一見しただけで首を横に振った、それだけで十分だった。
葬儀にはどういう訳か冬眠中の紫が名乗りを上げ、全てをこなした後どこかに消えた。
まあ、誰がやろうと宴会の場所はウチの境内なのがいただけないが。
ただ、片付けをこれからまた一人でやらなければならない事に気が滅入った。
しばらくはこんな日々が続くだろう、しかしそのうちなんとも無くなると思う。
人間が死んだ、偶々知り合いだった、それだけなのだから。


○○の葬儀が終わった翌日、紫は白玉楼にいた。
既に○○の遺骨は幽々子の"お願い"通り、西行妖の根元に埋めた。
マヨヒガに帰る前に、幽々子の顔を見ようとスキマを開いたが、すぐ閉じた。
見てはいけなかった、いや断るべきだった。
あの時感じた警鐘は紛れもなく本物であり、私は以前のような彼女を失ってしまった。
ショックのせいか、冬眠を中断した反動なのかフラフラと力無くスキマに潜り、マヨヒガへ戻る。
「紫様、お帰りなさいませ……っと、どうしました?」
優秀な式の出迎えに答える事もせずに抱き締めた。
いや、抱きついたと言った方が的確だろうか。
何かしら察したのか、優秀な式は何も聞かずに主を抱き返す。
しばらくして、殺し切れなかった嗚咽がかすかに漏れた。


白玉楼は大きな屋敷な為、出入り口たる襖以外は壁に囲われた部屋もある。
死に誘われ、自覚なく死んだ○○は目覚める事無く寝かされていた。
そして、その傍には幽々子がいた。
亡霊ゆえに姿形こそ以前と全く変わらないが、その顔はまったく別人のようだった。
その視線は横になった○○に向けられ、その口元は絶えず何かを呟いていた。
「ねえ○○早く起きてねえ起きてちょうだい退屈なのつまらないの一緒に何かしましょう詩を読み合う?庭を見て回る?それとも何か食べる
 ?○○が望むなら同衾でもいいわ恥ずかしいけれど他でもない○○のお願いだものそれなら私はいいわ○○起きて○○ねえ起きて……どう
 して起きてくれないの?私が嫌いなの?そんな事はないわよね?だって私は○○が好きで○○は私が好きなんだからいいえ好きじゃなくて
 愛しているし愛してくれる相思相愛のはずよだから○○早く起きてちょうだい一人は寒いし寂しいわ○○起きて起きて起きて起きて――」
時が流れ、季節も冬から春へと移る。
しかし、冬に閉ざされた白玉楼は、いまだ春は訪れない。



オチが弱い気がする
病んでるのかなこれ


489のレスを見て書いてしまった。
これからは自重しようと思う。
一応>>485からの続き。


4/3 蛇足、あるいは散ってしまった桜の花弁

僅かな眠気の残滓を残したまま、紫は再び白玉楼を訪れた。
もう幻想郷各地では春告精が飛び回っていると言うのに、この地の桜にはつぼみがついてるかも怪しかった。
幽々子の気配を探すと、最後に訪れた時と同じ部屋にいた。
眠気の残滓は徐々に不快感へと変わっていた。
深酔いし過ぎた時のように気持ち悪さと吐き気が同居した、なんとも言えないものを紫は感じていた。
襖の前にスキマを作り、そこから声をかける。
「幽々子はいるかしら~? 目覚めたから挨拶に来たのだけれど」
相変わらずぶつぶつと何か呟き続ける声が止まり、目の前の襖が開けられる。
久しぶりに見た幽々子の顔は、最後に直接顔を合わせた時と全く同じだった。
「あら……紫じゃない、おはようと言うべきかしら?」
「そうかもね、入ってもいいかしら?」
返事の代わりに幽々子は元の位置に戻り、紫も部屋へと入る。
布団に寝かされた○○も覗き見た時と変わらなかった。
どちらも口を開くことなく、しばらく無音が続くが、じっと○○の顔を眺めていた幽々子が切り出した。
「紫、○○が起きてくれないの。
 どうしてかしら、私のせいかしら。
 私には原因がわからないのよ、紫にはわかる?」
紫は、先ほどから感じている不快感が徐々に強まっているのを意識した。
そして、自分の判断ミスを強く恨んだ。
親友の初恋なんて手伝うべきではなかったのだ。
妖怪である紫には、人間の価値観は知識として知っていても理解はできない。
それでも……あんな"お願い"は断るべきだった。
自ら出向いて直接言葉にしろ、といつもの様に言えばよかったのに。
ああ、神にも等しい力を持つなんて持て囃されていても私は――
「ねえ紫、聞いているの? ○○が目覚めてくれない……
 どうしたらいいの? いつもみたいに教えてくれないかしら」
気持ち悪い。吐き気がする。幽々子がこっちを見た、こっちみんな。
「黙ってないで答えて頂戴。
 ○○が起きてくれないわ、何が原因なの?」
ああ、藍の顔が見たい。藍、藍はどこ? 藍助けてらん――


冬も終わり桜が舞い散る春の頃、妖夢はいまだマヨイガにいた。
流石に食客というわけにもいかず、藍に頼み込んで家事手伝いをしている。
あの日、いつもの突飛な"お願い"のように言い渡された暇、庭師である妖夢は庭がどうなっているか気が気でなかった。
当然、主である幽々子の事は心配だった。
しかし、主の親友たる紫から幸せそうにわらっていた、と伝えられそれほど憂う必要はないと思っている。
それでも……まだまだ半人前な従者は傍から見ると落ち着きが無かった。



5/3

春の彼岸と託けて魔理沙が○○をしのぶ宴会を開くと言ってきた。
あんたは騒ぎたいだけだろうに。しかし、既に各地から手土産を持って人が集まってきていた。
「やれやれ……恨むのは○○の顔の広さか、魔理沙の強引さ、どちらかしらね……」
魔理沙の音頭ではじまった宴は○○の名前が一度も出る事なく盛り上がっていた。
縁側に座りつつ、一人で酒を飲む。あいつがいた頃は隣に居てくれたんだけどな――
「こんばんは、霊夢」
「紫? あんたいたの?」
久しぶりに顔を見たため、思わずそう言ってしまった。
まあ、もう春も終わりだし、こいつが起きててもおかしくはないのだけど。
「ねえ、霊夢。魔理沙は白玉楼にも行こうとしたのかしら?」
不意に、こいつはそんな事を聞いてきた。
「あ~行ったけど結界の穴が埋められてるし破れなかったから諦めた、って言ってたわ。
 あら、あんた何時の間に修復したの?」
紫は答えずそう、とだけ言った。
何か、嫌な感じがする。異変が起きる前にも似た焦燥感のような何かが。
「……そういえば妖夢は来ているのに幽々子は来てないのね」
「……そうね、何かあったのかしら」
間の空いた返事、チラリと宴会の場に視線を向けて妖夢を探したが見つけられなかった。
「何か、あったのね?」
「何も、無いわ。そして起こる事も無い」
紫の表情は読めない。ただ、既に起きて、終わってしまったという事は理解できた。



遅い遅い春がやってきた。やっと○○が起きてくれた。だけど○○は何にも覚えていなかった。
でも、それは好都合。だって今までのいらない事は全部忘れて、これから私と一緒にする事だけを記憶していくのだから。
「ねえ○○、何をしようかしら?」
「わたしはゆゆこといっしょにいられたらそれだけでいいです」
うふふ、そうよね。じゃあ、もうしばらくこの桜吹雪の中に居ましょう?

春度を集めていないのに白玉楼中の桜は咲いていた。
見る者には狂気しか感じさせないほど舞い散る花吹雪の中、幽々子は傍らの亡霊を抱き締め、わらった。



ヤンデレゆゆ様のはずがスキマ妖怪主役になってしまった。
普段は既存キャラ同士で書いているからかなぁ……
なお、ゆゆ様のいい知れぬプレッシャーに負けたゆかりんはその能力を酷使し、マヨヒガに帰ってから式に泣きつきました。

――最後に、あなたには、どちらの"わらった"に見えたましたか?

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最終更新:2011年03月04日 01:10