ラヴクラフトネタ 
屍食鬼はやっぱり地霊殿在住になるのだろうか・・・・

○○のモデル


○○には何処か人とは違うところがあった
見るものを不安にするような笑い声
博識であるが、底の見えない知識
私は彼と親友であった
彼は画家であった
しかし、彼の作品は男女の艶事を描いたものであり一般には受け入れない代物であった
特に彼の「飢え」は白髪の女性と男性が交わりつつも短刀で、腕でお互いの身体を引き裂き貪る姿が描かれていた
私は驚愕と恐怖と、昂りを抑えることができなかった
どうしてこのような絵が描けるのか、彼に尋ねたことがある
そんな時、彼はいつものような笑い声をあげながらこう言っていた

「見たまんまさ・・・・・」

画壇の彼に対する評価は散々だった

曰く、異常すぎる

曰く、非道徳的だ

しかし○○はそのような評価も気にしていなかった



私が彼に呼ばれ、アトリエに着くと荷造りの準備がされていた

「今度移住するんだ」

おかしいことはない
彼程の知識と画才があればこの狭い日本は彼自身を縛る檻に他ならない
私は彼の門出を祝った
少し飲み過ぎたらしい
私は酒毒に侵された脳で周りを見渡すと、自分がアトリエの地下室に居ることがわかった
ひんやりとした空気で覚醒した頭で辺りを見渡す
私はソレを信じたくなかった

ぴちゃぴちゃと規則的に響く水音
獣の吼えるような嬌声

そこには男女が交わっていた
否、それは交わりというには野蛮過ぎるものだった
二人の周りには9インチの釘や斧、ドリルなどが置かれていた
ねっとりとした血にまみれて・・・・

不意に男が顔をあげる

「○○!」

私は叫んだ
立ちあがろうとするが、椅子に身体が縛られているようで腕一本動かすこともできなかった

「前僕が言っていたろう?見たまんまだって・・・・だからさぁ!」

○○の手が女性の切り裂かれた腹に差し込まれる

「こういうことさ」

女性はうっとりとした表情で彼の腕を撫でた

「この殺人鬼が!!!」
「殺人?再生するのに?」

今度は女性が足元に転がっているショットガンを○○に向け、引き金を引いた。

「幻想郷では手に入らないからってやり過ぎだよ妹紅」

確かに頭は粉砕されていたはずだ
ああ、なんということだ
丸で逆再生をみているようだ
○○の頭が再生し・・・そして   笑ったのだ

気がつくと、私は地下室に転がっていた
硝煙の匂いもなく
血の匂いも、淫靡な情事の匂いもなく、ただの地下室が広がっていた
白い布を掛けられたパネル
私の原始的な感覚がそれを見るなと警告する
だが・・・・・

それは彼の集大成と呼べる代物だった
豪華なモーニングとウェディングドレスを着た男女
男は黒炭のように焼き尽くされ、女は凡そ女性らしい全てを引き裂かれ、抉られていた
そして、彼らの背後には私が正装したった一人の出席者として座っていた
素晴らしかった
不意に私はそれに触れた
そして知ったのだ
それは絵ではなく、写真であることに

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最終更新:2012年08月05日 17:07