俺、こと○○は元外界の人間だ。

幻想郷に迷いこみ、亡霊に襲われている所を偶々通りかかった幽々子様に助けてもらって以来、妖夢の仕事を手伝いながら白玉楼で世話になっている。

なんでも外界で交通事故にあった時の衝撃でこっちに来たらしく、むこうで俺は死んでしまったらしい。

事故にあった衝撃のせいかその時の事は記憶に無いが、既に死んでいると聞いた時はおもわず自暴自棄になってしまった。

それを幽々子様が文字通り身体を張って落ち着かせてくれた。

最初は幽々子様にさえ辛く当たってしまい、時には暴力をふるった事もあった。

そんな俺でさえも幽々子様は優しく抱き締めてくださり、その優しさに触れた時俺は思わず涙していた。

それから数日たって精神的に落ち着いた頃、俺は幽々子様の事が好きになっていた。

だが俺なんか普通の人間(亡霊?)が気持ちを告げてもよいのだろうか。

そう思った俺はある程度強くなったら、妖夢に剣術で一本取れたら告白しようと決めた。

妖夢と稽古を始めてからはや5ヶ月、ついに妖夢から一本取る事ができた。

妖夢はこの後何か用事があるらしく神社に行くらしい。

もう告白をするのは今日しかないと思った俺は幽々子様の部屋に向かった。

そして今幽々子様の部屋の前に着いたのだが、中から話し声が聞こえる。

来客は誰もいなかったと思ったが、とりあえず出直そうか

「はいこれで結界は完成よ。それで幽々子、結局の所○○はどうして幻想郷に来たのかしら?」

この声は紫さんか。

神出鬼没な人だからなんとなく部屋にいることは納得できたけど、何を言っているんだ?

事故にあったって事を説明してくれたのは紫さんだったのに。

話の内容に気を取られた俺は、思わず立ち聞きしてしまった。

「あらあら、それはどういう意味かしら紫」

「彼は交通事故にあった結果こっちに来た、これは確かよ。でも不自然なのよ」

「不自然?」

幽々子様がくつくつ、と笑いながら問う。

「何が不自然なのかしら?」

「何がじゃないでしょう。何で街中の人通りの中で、○○だけがトラックに轢かれるのよ」

「そんなの決まっているじゃない。私が○○だけを死に誘ったからよ」

今何て言った?

まさか、聞き間違えだよな。

「それならもしかして、○○がこっちに来たときに亡霊に襲われていたのも」

「勿論私の指示よ」

「○○の精神状態が不自然に不安定だったのも」

「もしかしたら蓬莱の薬師の薬を飲んでしまったのかもしれないわね」

はあ、と紫さんがタメ息をつく。

「タメ息を付くと幸せが逃げていくわよ?」

「その原因が何を言っているのかしら。まあ仕事も終わったし、聞きたい事も聞けたし今日はもう帰らせてもらうわよ」

「そう。じゃあまた今度」

「ええ、また」

声からして紫さんが帰ったのだろう。

「それで○○。そこにいるんでしょう?」

幽々子様が俺を呼んでいる。

しかし返事ができない。

部屋に入りたくない。

それどころか幽々子様に会いたくない。

「全部聞いていたのよね」

立ち上がり、こちらに向かって歩く音が聞こえてくる。

逃げたい、逃げたい。

だが身体が、足が動かない。

聞いた事のショックに頭が麻痺しているのだろうか。

動け、俺は逃げるんだ、ここから出るんだ。

「あら、どうしたの?そんなに震えて」

目の前の襖が開き、歪な笑顔の幽々子様が出てきた。

誰だこれは?

信じていた物は、全てまやかしだったのか?

あの優しさは、全て偽者だったのか?

俺の想いは、無意味なものだったのか?

「ほら、これで大丈夫」

幽々子様が俺を抱き締めた。

優しさなんて感じない。

冷たい、怖い、冷たい、怖い。

「もう何処にも逃げられないのだから」









その日、白玉楼に新たな結界が張られた。

博麗の巫女でさえ気づかない様な微弱なそれは、特定の人間にのみ反応するものだった。

その結界は、特定の人物はそこから出れず、身体・思考さえ操られてしまう物だという。

そしてその日以来、白玉楼ではまるでオシドリの様な亡霊の夫婦ができたらしい。

多くの人間や亡霊、そして妖怪はその事を祝った。

しかしその夫の方の剣の師匠は次の日の日記にこのような一文を書いていた。

「あの人の剣の筋が変わった。幸せで稽古に身が入らないのは分かるが、まるで別人のようだ。まあ数日もすれば元に戻るだろう」と。



~~~~~~隙間の裏~~~~~~
駄文ですまん。
昔から作文は得意じゃないんだ。
ただ幽々子様への愛が暴走したんだ。
あんまりヤンデレっぽくないのは秘密。
お目汚し失礼。
では ノシ
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最終更新:2010年08月27日 01:28