もう只の産み直しでは物足りないし飽きられた。ならば……
「ぬぇーん、貴方、面白いね」
「面白いって何だよ」
庭園の東屋で読書をしてた少年○○の傍に、不思議妖怪ぬえが降り立つ。
彼女は興味深げに少年を眺めながら呟いた。
「私ほどじゃないけど混沌でごっちゃだね」
「……君ほどカオスだったら本当に救いがないよ」
溜息を吐き、少年は本を閉じた。
ぬえはプププとからかうように吹き出し、笑顔でこういった。
「そーね。今の貴方は、
3割程が吸血鬼。しかも姉妹混合。目が赤くて太陽が苦手。
2割が異能の人間、貴方の綺麗な銀髪の授け親ね。
1.5割が黄土の妖怪。しなやかな肉体の提供者。
2割が種族魔法使い。抜けるように白い肌は彼女の遺伝。
最後の1.5割が魔族。背中に生えた翼は彼女が授けた」
「よく解るね……はぁ。おかげで館の中の人間関係がグチャグチャだよ」
想像してみて欲しい。好きだと同居人達(館の主要人物全員だった)に告白され、持ち前の優柔不断さと優しさから相手をヤキモキさせ。
結局誰を選ぶことが出来ずに暴発を迎えた結果がこの有様なのだ。
「でもね、まさか全員のお腹の中を出たり入ったりするとは思わなかったよ……」
自分がこうなる過程を思い出したせいか、○○はぐったりとした。
幻想の郷の女性の愛情表現に産み直しがあると聞いてはいたが、まさかリレーまでやるとは思いも寄らなかったのだ。
レミリアのお腹に移され出産、ある程度大きくなってから
フランドール、そして
パチュリー……このパターンを順番に繰り返していったのだ。
外観は少年でも中身は色々摩耗してしまったらしく、グッタリとした○○を面白そうにぬえは眺めたのだった。
最終更新:2012年08月05日 19:10