いつぞや書いた青娥のやつのもこたん視点
私は慧音と出会ってからたくさん里に行くようになった。
それは久々の「人」との触れ合い。
慧音が居たおかげで…私はもう戻れない、と思った「人」を取り戻せたのかもしれない。
あの日、私は慧音とはぐれてしまった。
ここはどこだろう?私は1人になってしまった。
怖い…怖いよ…
「うっ…うぅ…」
あぁ情けない…涙が出てきた。
…でもどうすれば。とてもじゃないが里人に話かける勇気などない。
「…あの」
そのとき上の方から声をかけられた。顔をあげると一人の男がいた。
「どうして泣いているんです?」
「…道に迷ってしまったんだ」
「そうですか、どこへいきたいんです?」
「団子屋」
「そうですか、はは、遠いなあ…」
男は笑いながら道を案内してくれた。
私はそんな男の横顔をひたすらに見つめていた。
-助けてくれた-
そうこうしているうちに団子屋の前に着いた。
「あの、ありがとう…お名前は?」
「えぇ、と。○○です」
ぺこりと頭を下げてきた。
それから何だかずっと雑談をしていた気がする。
私はこの男と話すのが楽しい、と感じていた。
ずっと話していたい。
けれどそんな願いは容易く破られてしまった。
「…」
仙人、と名乗ったあの女。
○○の知り合い?らしい。…どんな関係なんだろう、な。
「慧音!ごめんね、はぐれちゃって…」
「いや妹紅。私のミスだ。すまなかった」
そんな会話をしながら私は心の中で何かがちらついているのが分かった。
一目惚れを、しました。
次の日。
それとなしに人里を歩く。
心には淡い期待を秘めながら、でも叶わないと思いながら。
「…あ」
しばらく歩いていると○○を見つけた。
私は自然体を装い近づく。
「…あ、あの」
「ああ。妹紅さん。」
○○は笑ってくれた。
私は嬉々として色々話した。
しかしそのうち仙人が来て○○をさらっていった。
「…」
もっと話していたかったのに。
私は一人里を歩く。
そして団子を買って帰った。
私は慧音に○○のことを聞いてみた。
どうやら知らないらしい。外来人か。
「どうした妹紅。珍しいな。」
「ううん。何でもないよ」
私は素っ気なく慧音に返しタケノコご飯を食べた。
それから○○は2日に一回くらいの頻度で人里に来た。
何で里に住まないの、と聞くと事情があるんだ、と返した。
ふぅん。外来人も楽ではないんだな。
私はそんな優しい○○と一緒に暮らせたら、と考えていた。
でも無理だ。○○にはあの仙人が居る。
あの仙人の話をする○○は幸せそうで楽しそうで…
何で、私じゃダメなのか。
あの仙人じゃないといけないのか?
私は次第にその仙人をコロしたくなる衝動に駆られるようになった。
話さないで。
触れないで。
○○は私のもの。私と話してるとき、○○は幸せそうなのよ?
大好き、好きなのに。なのに…
私は○○が次里に来たら告白する、と決めた。
ドキドキする。
…うぅ。ま、まてよ。まだ○○が来るまで3時間くらいあD
私は○○に話があると言って人気のないところに招いた。
ここは一年に人が来るがどうかすら怪しい場所。
私は○○を見据えた。
「…好き、です」
私は顔が火照っていくのを感じた。
…沈黙が続く。…まだかな?
「…妹紅」
「な、何っ?」
「…ごめんな。こっちには待たせている人がいるんだ。」
…………え?
�%D
嘘、嘘だ。違う、これは夢。いいや、私の耳がおかしいんだ。
違うよ、違う。嘘。これは…嘘。
「…嘘つき!」
私はそのあと少々乱暴に○○と…まぐわった。
そのときふと人影が見えた気がしたが。
…あれから、○○は来なくなってしまった。
慧音に話すと、少しばかり怒られた。
そして、悲しそうな目になった。
「そうか…妹紅。振られた、のか」
「…」
心がちくっとした。
「でもな、妹紅。祝福してあげよう。だってもこー」
「…れ」
だんっ、と机を叩いた。
手が少し痛いが構わない。
「黙れ!慧音!そんなこと、言わないでくれ!」
「妹紅!でも、きっとあなたは理から外れようとしているだろう!」
「うるさいっ!!」
私は…
気づけば目の前で慧音が「眠って」いた。
ごめんね。
私は、あいつのことが大好きなんだよ。
…それから何とかして○○のすんでいる場所を見つけた。
やった!会える!○○に会える!ごめんなさい○○!大好き!あいたかった!
それだけの思いを抱え、○○のすんでいるところを目指した。
「はぁっ、はぁっ…?」
着いた。そこには、2つの彫刻のようなものがあった。
「…○○?」
…死んでる。
「…やだぁ…いやだぁあああああああっ!!!」
私の行けないところにいってしまうなんて!
…いや、違う。これも、嘘だ。
「○○…これ持ってきたよ」
ぐいぐい○○の口元にご飯を押し付ける。
死んでしまった者の世話をする、白銀の少女は、夢の世界へ旅立った。
幸せかどうかは定かでは、ない
最終更新:2012年08月05日 19:36