霊夢/4スレ/956




僕は彼女が好きだ。
こんな風に地下の座しき牢に監禁されていても。

上からは、いつもの宴会の音が聞こえる。彼女と親しい妖怪や人間が集まっているのだろう。
例え僕が日常生活から姿を消しても、それは変わらないのに少し悲しさを感じる。
しょうがないとは思う。たかが、数ヶ月顔を合わせた程度の外来人だもの。
彼女がみんなに対して僕が外への帰還を選択したと言えばああ、そうか寂しいねで終わるだろう。
寿命が非常に長い妖怪達にとって、人間の一生は儚い。
ましてや、偶々この地に流れ着いた外来人なら尚更だろう。

「あー、飲み過ぎたわ」

転た寝している間に、宴会は終わったらしい。上はすっかり静かになっている。
灯りが点火し、顔を赤くした霊夢が座敷牢を開けて入ってくる最中だった。
後ろの扉は、彼女しか出入り出来ない。彼女の許可が無ければ、僕はここから出る事は出来ないのだ。

「ふふふ、○○ぁ……」

彼女は普段と変わりない。僕と接する事以外は。
直接は見れないけど、今日の宴会でも酒を飲みながらめんどくさそうな態度を取っているのだろう。
僕は怠惰っぽくて、そのくせ結局世話を見てくれる彼女が好きだった。
単純な好意が、愛情に変わったのも早かった。

彼女も同じだったと思いたい。ただ、その愛情が歪んでいたというだけで。

2人の脱ぎ捨てられた服の上で、彼女が僕を貪っている。
最初はぎこちなかったのも、今ではすっかりスムーズに交われていた。

彼女と愛し合うのは好きだ。出来れば、上の彼女の部屋で普通に愛し合いたかったけど。
彼女は、彼女以外の存在に僕を触れさせるのを嫌がるのだから仕方がないだろう。

何度でも言うけど、僕は彼女が好きだ。
こうして理不尽に監禁されても、僕は彼女が好きだ。
助けを求めれば、どうにかなるかもしれない。
だけど彼女は死力を尽くして僕を逃がそうとはしないだろうし、僕を助けようとした、彼女を止めようとした存在に容赦しないだろう。

僕は彼女が戦う所も、傷付く所も見たくはない。
だから、僕は此処から出ることを諦め、彼女の求める全てに答える事にした。

「○○」

同時に果てた後、彼女が僕の唇に唇を重ねてくる。
僕は拒むことなく受け止め、彼女の細い肢体を抱き締めた。

ここに居る限り、何も問題は起きない。ならない。
何故なら、何時の間にか、僕もここで霊夢の愛を独り占めする事に喜びを感じていたからだ。

だから、僕はずっと此処に居る。
彼女が死ぬか、僕が死ぬ、その時まで。








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最終更新:2019年02月09日 18:23