○○。
彼は長屋を離れ、人里のはずれでさびれた工場を経営している。
彼を知る人里や「顧客」からは誠実な人物と言われているが、彼の「本当」の仕事を知っている人物からはこう呼ばれていた・・・
「絶望の導き手」と。
彼が今整備しているのは、一見見ただけでは普通の椅子にしか見えない。
引き渡す前の最終整備をしている○○に声がかけられた
「聞きしに勝る腕前だな。色も真紅で我が紅魔館に合う・・・・仕掛けのほうは?」
「お確かめになりますか?」
「頼む」
○○は工場の暗がりから人形を引出し、その椅子に座らせた。
微かな歯車のかみ合う音がした。
背もたれから硬質ゴム製の首輪が人形の首にはまると同時に人形の四肢も同様に拘束され、内蔵された発条の働きで人形は手足を広げさせられる。
そして背もたれが倒れ、寝椅子のような体制を取った。
「お気に召しましたかな?」
「素晴らしい出来だ。咲夜も夫となる男も悦ぶだろう」
「お褒めにいただき光栄でございます」
彼の「作品」はその日のうちに引き渡された
彼も他の外来人の例に漏れず外界帰還を目指していた。
勤勉な彼は特にフラグを立てることなく、着実に成果を出した。
もともと「椅子」はある人物からの依頼で制作したものだ。
帰還費用は溜まった。
しかし、彼に悪魔が囁いた。
「もっと儲けてからでもいいじゃないか?」
彼は異常な機械の製作にのめり込んでいった。
精巧な組木細工だが、一つでもパーツをずらすと自動的に手錠と化して対象を拘束するパズル
ありふれた鳥がさえずるオルゴールに見えるが、作動させると睡眠薬を含ませた吹き矢が小鳥から発射されるオルゴール
制作するそばから飛ぶように売れていった。
もはや目的のための手段ではなく、手段のための目的へとすり替わっていることに彼は気づかなかった。
今彼は自らで「椅子」の座り心地を確かめていた。
ある夜、工場に無数の蝙蝠が飛び彼を包み込むと同時にこの暗い部屋に拉致されたのだ。
目の前にはKKKの被るような覆面をした数人の人物。
「何だお前達は!俺の身に何かあったら・・・・・」
「レミリア」
~ まずい・・・・こいつら全てを知った上で・・・ ~
男達はおもむろに覆面を脱ぎ捨てた。
一人は赤い目と牙をもち
もう一人は地上から浮かんでいた
間違いない、彼らは○○の製品の被害者たちだ。
「喋るな腹立たしい!お前の心の中は自己弁護でいっぱいだ!恥を知れ外道!」
胸のあたりから第三の目を覗かせた男が激昂する。
「俺は!俺はただ依頼をこなしただけだ!」
「確かに。ダガーナイフを作って、それを買った誰かが人を殺しても製作者は罪に当たらない。」
「なら・・・・・!」
「だからこれは俺たちからのお礼だ」
辺りに何かがぶちまかれる。
「?!」
男根を精巧に模した器具やゴム玉ををワイヤーで幾つも繋げた器具等、それらの使い道は容易に想像がついた。
「ある人物に貴様のことを話したら是非とも会いたいって・・・・」
「これはお礼さ。お前が受取ろうが受取らないだろうが関係ない!」
ドアが開いて、水色の髪をした少女が現れる。
河城 にとり
○○がねじや発条を納入してもらっていた河童だ。
「まぁ相手にかわいがられるんだな。ブッ壊れるまで!」
懇願する○○の声をよそに、彼らは淫虐の部屋を出て扉を閉めた。
最終更新:2012年11月11日 13:50