ここは博麗神社境内。人妖神霊精問わず宴会をして賑わっていた。
 ○○は何でも屋として各所からの信頼を得ており、その縁あってか宴会に顔を出すことになった。
「いやあ、みなさんよく飲みますね」
 若い女の子ばかりに囲まれているということもあり、○○は少々浮かれていた。
「○○さんももっと飲んだらいいじゃない」
 霊夢が勧めるが、○○は首を横に振った。
「ああ、僕お酒に弱いんですよ。何しでかすかわかったものじゃなくて」
「そんなこと気にせず。さあ」

 数十分後、完全に○○は出来上がっていた。
「うわあ、気持ちよくなってきたなあ。ん? あれはフランちゃんじゃないか」
 宴会どころか、外にすら出してもらえないはずのフランがそこにいた。
「フランちゃんこんばんわ。珍しいね。外に出てるなんて」
「あ! ○○お兄様! うん、私ね、お姉様に一生懸命お願いしたの!」
「そうかいそうかい。それはよかったね。おいでフランちゃん」
 そう言って、○○はフランを胡坐をかいた上に乗っけた。
「ありがとう! お兄様!」
 その瞬間、空気が変わった。みんなの○○を見る目つき、フランへの目つき、それぞれが激しいものになった。
「○○ー。私と一緒に飲みましょう」
 そう言って近づいてきたのは西行寺幽々子だった。
「あ、ゆゆちゃんこんばんわ。隣どうぞ」
 普段はゆゆちゃんなんて決して言うことはないのだが、酔った○○は気付かない。
 そしてそのフランクさが幽々子にも周りにも一気に火をつけた。
「うふふ、嬉しいわ。そんなふうに呼んでくれて」
 そして、いつの間にかフランがいなくなっていた。
「……うーん眠くなってきちゃった。ゆゆちゃんちょっと借りるね」
 ○○はおもむろに幽々子の膝に寝転んだ。いわゆる膝枕だ。
「!!? ○○!!」
 その瞬間、幽々子は周りに勝ち誇った顔をした。

「うーん、あれ? 俺、なんで外で寝てるんだ?」
 周りを見てみるとみんな弾幕ごっこのあとのようにボロボロな姿で寝ていた。
「……ヒートアップしちゃったんだなあ。いいなあ。ここまでヒートアップするようなことがあったのかあ。俺も混ざりたかったなあ」
 ○○は覚えていなかった。宴会での出来事を。そしてこれはもう何回も繰り返されているということも○○は覚えていない。
 今夜もまた、○○争奪宴会戦が催される。
 そうとも知らずに、○○はみんなを起こし、片付けを始めた。

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最終更新:2012年11月12日 10:44