幻想郷にはたまに外来人が迷い込み、運が悪い者は獣や妖怪の餌になり、運が良い者は人里に保護される。
さて、その人里に保護されている外来人で〇〇と言う名前の青年が居た。
少し前に迷い込み、運良く人里に保護された一人だ。

性格は明るく、気さくで大らかな絵に描いたような好青年で人里はもちろん、幻想郷の重鎮である人や妖怪や神などからも親しまれており、毎日汗水流して帰還資金を貯めていた。

しかしー、〇〇は最近二つのあることが気になりだした。


〇〇(このまま向こうに帰るべきか?いや、最初は両親に心配をかけたくないから直ぐに帰りたい一心だった…。でもだ、幻想郷の女性を見て、向こうの【外界】最近の女性を見ると…明らかに品が無いから魅力も無い。)


〇〇は最近の日本女性がどうも好きにはなれなかった。電車の【女性専用車両】は痴漢など犯罪を減らすから良いが、「【肉食系】?【草食系】?なんだそれ?自分に魅力があるような言い草で蔑称するなよ。」

「前までは品格、品格と騒いでいたのに今度は【女子力】?騒いでいる女性達のどこにそんなのがある?」
「『男は~』とか結局は顔なんだろ?」

などと言う決まり文句に嫌気がさしていた。
実際、〇〇も大学で気になる異性に意を決して告白したら「ぶっちゃけ、〇〇ってフツメンで草食系っぽいから、そんな目で見れない。」と断られた過去もある。


それが故に少々、【男尊女卑】に傾いた考えだが今の日本女性が与えられる権利や平等を浅ましく求める姿が目に浮かび、幻想郷の人里の知り合いの夫婦のような、女性は男性をたてるが男性も女性を庇護する様を目の当たりしたのが帰還を躊躇ってしまう要因になっていた。


そこへ新たに気になることが一件加わった。
最近、どうも何かに『憑かれている』。
今の所は実害は【さほど
】無い。

【さほど】と言うのは視線や気配はかなり濃厚にあるからだ。
しかし、それも昔の女性みたいに常に三歩下がって男をたてる雰囲気があるから邪険にできない。
里の相談役に話したがどうなることやら…。


そう、ウンウン唸りながら考えていると小屋の戸が心地好いリズムでノックされた。

「はい、どなたですか?」
「私です、〇〇さん。今日も夕飯のおかずをお裾分け来ました。」

「え?今日もですか?いやぁ、本当に毎日すみません。」

「いえいえ、気にしないで下さい。〇〇さんに美味しくいただいて貰って私も嬉しいです。あ、器はいつも通り外に出していて貰って結構です。」


今日もまた〇〇と幻想郷の重鎮の女性の会話が、夕暮れに響いていた。

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最終更新:2012年11月12日 12:50