「そう震えなくてもいい。僕は中立の存在だ」
「信じられるか!どうせ俺を化け物に渡すんだろ!」
「僕にその気はない」
「ならどうして此処に閉じ込めたんだ!」
「そうしなければ、人里にいらない被害を及ぼすからさ。君には時間が必要だ彼女にも・・・」
「時間?そうやって俺を洗脳するつもりだ!」
「おとなしくしていれば外界へ帰還できるといっても?」
「・・・・・!本当か!」
「ああ。さぁ外界のことを思い浮かべて・・・・」
次の瞬間、彼は住み慣れた部屋の中のシミだらけの布団で目覚めた。
シミの位置も全て彼が幻想入りした時と同じだ。
彼は喜びとともに深呼吸した。
空気は澱んでいた・・・・
彼が戻って半年。
朝起きてネットをして、食事してバイトに行ってネットして寝る。
彼が幻想入りする前と同じ生活をしていた。
彼の脳裏に浮かぶのは、自分のような屑でも盟友と呼んでくれて愛してくれた「彼女」。
外界に戻りたい一心でその手を振り払った自分でも、まだ彼女は「盟友」と呼んでくれるのだろうか?
「もう一度会いたいよ・・・にとり」
彼がそう呟くと、見慣れた部屋は溶け去り再び「あの」部屋へと戻ってきた。
「驚いたかい?」
「?幻覚を見せたのか俺に?」
「君の中の記憶をもとに作った仮想現実 自核夢と呼んでいる」
「自核夢?」
「幻覚ではない。君の記憶の中の現実だよ」
「確かに・・・・」
「これから君が外界帰還しても同じことが起こるだろう」
「・・・・」
「長屋に戻ってよく考えるといい。そして、それでも戻りたいなら私が金を出す」
「ありがとう・・・・」
「堕し屋」古明池 ○○
彼の成功率は95%を誇る
安全安心に婿をゲットしたい淑女は「古明池
こいし」までご一報を・・・
最終更新:2012年11月20日 10:50