走る、走る、走る…ただ彼奴に追い付かれないように…
青年○○は息を切らせながらも、人が居るの商店街を走る…
ここで立ち止まれば時間稼ぎぐらいはできると思ったが、
○○の本能がそれを許さなかった…
商店街を抜け、路地裏に入る…
そこで○○は後ろを確認した…
ずっと前から変わらず、自分と同じ速度で追いかけてくる事を見て、○○は舌打ちをした…
「上から見下しやがって!!捕まえられるのに手加減かよ!!」
○○自身でも信じられない程、今の○○は口が悪い…
それもその筈…相手は人知を越えた能力がある…
それを使えば相手…いや、彼女はとうの昔に○○を捕まえていただろう…
敢えて捕まえないのだ…
逃がし、疲れさせ、絶望させ…
自分の力がどれだけ強いかを、○○にその身で見させるのだ…
しかし、こんな出来レースを黙ってやる○○では無かった…
路地裏をでて、すぐ側にあった鉄で出来ている棒を持つと、
彼女が路地裏から出てきた瞬間、頭にめがけて殴り掛かった…
しかし…
「ふふふ…やっと追い付きましたわ…○○…」
○○の攻撃は確かに当たった…
その証拠に、彼女の頭からは鮮血が…
しかし、彼女からは呻き声では無く、笑い声が聞こえるのだ…
「な、何なんだよ!!お前は!!捕まえるんだったらもっと早く捕まえられただろ!!」
こんな言葉を使うとまるで捕まえて欲しいと言うのと同じだが…○○は頭が回らなくなっていたのだ…
「はぁ…はぁ…、決まっているじゃない…能力なんて必要ない…
私は貴方が好き…○○が好き…
○○を捕まえるのに能力なんて必要ないわ…」
彼女が能力を使わないのは、その思いやりからだった…
本当に愛しているなら、そんなもの使わず、自分で浚いなさいと言う、親友のアドバイスを受けたからだ…
もっとも、そのアドバイスは間違って伝わったのだが…
「このッ!!離れろ!!」
ブンッ!!ともう一度棒を振るうが、今度は手首を強く掴まれ、
痛みに負け、棒を離してしまった…
がらん…と軽い音が聞こえる…
「ほら…今、私の家につれていってあげるわ…
その間、退屈はさせないわ…
私も我慢できないのよ…暑くて…熱くて…ね?」
「う、嘘だ!!やめろやめろやめろやめろやめろぉぉぉ~!!」
二人の頭上から布のようなものが、段々大きくなって、二人にかぶさって行く…
そして、消えた…
最終更新:2012年11月20日 12:16