「お~い、めいゆうー」
「お、にとりじゃあないか」
 ○○が里の裏路地を歩いていると、にとりが駆け寄ってきた。
「にとり、盟友っていう呼び方はやめなさい。病院の待合室でお婆ちゃんって呼ぶのと同じだぞ」
「たとえがよく判らないけど、そういうならそうするよ」
 にとりは荒い息をつきながら答え、○○は満足したように二度頷いた。
「ところで腕に抱えているそれはなんだい?」
「これはさっき紫様に貰ったデフラグさんとチェケラッチョディスクさんだよ」
「チェケ……なに?」
「いや俺もよくは判らんが、整理してくれるらしい」
 にとりはそう説明されると少し考え込み、言った。
「ねえ、これちょっと分解させてよ」
「別に構わないけれども、またエンジニアの性か?」
 そう言われると、にとりはばれたかといったような顔をして、○○の手から2個の機械を取り上げた。
「じゃあ、早速分解するよ。1週間ぐらいで返せると思うから待っててね」
 にとりは走り去りながら言い、○○は大きく手を振ってそれを見送った。


 にとりと会って3日ほどたった日のことだ。
「お~い、めいゆうー」
「にとり、だから盟友言うなって言ってるだろ」
「ああ、ごめんごめん」
 ○○はにとりと里の路地で再開していた。
 にとりは咎められたことに笑顔で謝ると、一転して渋い表情を作る。
「それで、あの二つの機械のことなんだけれども……」
 にとりはそこまで言うと、言い難そうにもじもじと体をゆすった。
 見かねて○○が促すと、にとりは静支部といった調子で言葉を続ける。
「あれが夜中に家を壊そうとしたんで、分解してよく調べることにしたよ。だから返すのはもっと遅れるね」
「そりゃ構わないが家を壊すとは怖いな。あげるから部品取りにでも使ってくれ」
 そう言われてにとりは驚いたような表情を作る。
「いいの? あの部品いい奴だよ」
 にとりの喜びように○○は苦笑しながら返す。
「別に機械いじりは出来ないから、部品があっても使えないし。なら使ってくれる奴が持っていたほうがいいだろ」
 にとりはそれを聞くと両手を挙げて万歳をし、御礼をするからと○○の手を引いて甘味屋に入っていった。

 ○○がにとりと話していると、その路地から少し離れた上空にふいと何かが現れる。
(あの河童……。せっかくデフラグさんに○○の家をデフラグさせて家に転がり込ませようとしていたのに……)
 それは見る間に大きくなると口を開け、中からは八雲紫が顔を出した。
(まあいいわ。次はてふてふを送り込みましょう……)
 紫が身を隠すとそれはするりと口を閉じ、辺りは何事も無かったかのように鳥が舞った。


思い浮かんだんで>>336を改変。
ここいら辺がヤミと非ヤミのボーダー辺りだろうか。

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最終更新:2011年03月04日 01:14