霊夢/15スレ/960




予告 長くなるかもしれないからロダに投下するかも



「さぁ、○○、お別れを言いなさい」

親戚の女の子が供物になる事になった。
彼女は選ばれたのだ。有り得ない存在に、選ばれてしまったのだ。

「……なんで、泣いているの?」

醒めた目が、僕を見詰める。
キミが居なくなるのが悲しいと答えると、貴方だけね、そう言ってくれるのは。
幼い女の子なのに。彼女はどこまでも達観しているような顔で僕を見た。

「逢えるならまた逢いましょう」
「え、でも、もう帰って来れないんじゃ」
「多分、逢えると思うの。私の勘、よく当たるのよ?」

そして、儀式の日。彼女は聖域と呼ばれる山に入っていった。
僕も禊ぎの後で、彼女を見送る為に儀式に参加した。
宮司様達に囲まれ、巫女装束に身を包んだ年端もいかない少女。
彼女だけが、この運命に晒された訳ではない。
この地方では、数十年毎に『選ばれた』少女が山に入り姿を消す。
生け贄、または神隠しの肩代わり。
その代償として、この地方は大きな災害や災厄に見舞われる事もなかったという。

山の入り口。中腹にあるという寂れきった神社へと通じる参道へ進んでいく少女の背中。
それが、僕があの子を見た最後だった。


……夢を見る。
僕は、何処かの神社に居た。
そこは神社とは思えないほど奇々怪々が集う場所だった。
そんな騒がしい神社を取り纏める巫女が、姿を現す。
赤を基調とした洋式をミックスしたような、巫女服を着た少女。
ふと、彼女が振り返る。視線が僕と重なった。

「ほら、言ったでしょ? 私の勘は良く当たるって」

彼女が、一瞬で僕の前に現れる。

「さ、貴方もこっちにいらっしゃいな。私が招くのだから……誰にも文句は言わさないわ」

片手を掴まれ、勢い良く引っ張られる。
そのまま、僕は勢い良く起き上がった。

「……夢?」

何時もの部屋。いつもの、自室。
僕は、彼女に掴まれた腕を見る。

「赤い……」

小さな椛のような、掌の後が腕に付いていた。



あなたも、こっちへいらっしゃいな―――


近日、公開









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最終更新:2019年02月09日 18:53