便乗してみるか、秋風は肌に寒いから手早く1レスでな……(バッ
里外れの外来人達のコミュニティから1人の『少女』が出て来る。
フリルやリボンが大量に付いた、上品な色合いのドレス。
体付きはとても華奢であり、日傘で隠された肌は病的に白かった。
その有り様はとても上等とは言えない生活を送る外来人達とは似つかわしくなかった。
しかし、彼女の存在は外来人達の知る存在らしい。
粗末な槍を持った見張り達も見慣れたものらしく、彼女に対して片手を上げて挨拶をした。
「また、魔法の森に行くのかアイツ」
「可哀相になぁ……」
同情を含んだ視線を背後に感じながら、少女は俯いたまま補足を上げる。
魔法の森に近付く前でに何度か野犬の化生が近付いて来たが、直ぐさま引き下がっていった。
森に入り、胞子避けの白いマスクを被り少女はどんどん進んでいく。
殆ど迷う感じもなく一軒の洋館に付くと、ドアが自動的に開いた。
「来てくれたわね○○……」
うっとりとした表情で出迎え、即座に彼女を抱き締めたのは館の主である
アリスだった。
辺りに誰も居ないことを確かめてから屋敷に招き入れ、そのまま工房である地下室へと入る。
厳重に施錠した後、アリスはキーワードらしい言葉を唱えた。
服に付いていたフリルやリボンが落ちる。
スルリと幾つもの布きれに変わったドレスが落ちる。
身体を補強、締め上げていた魔法製の矯正具がポロポロと落ちる。
やがて、何も床に落ちるものが無くなった頃には、彼女は……彼は全裸になっていた。
そう、○○は男だった。
華奢で小柄、童顔である為男の恰好をしていても間違われやすい。
そんな彼がアリス特製の矯正具で体形を補正し、彼女が選んだドレスを着たらどうなるか?
「これで、私の○○に悪い虫が付く事はないわ♪」
ウキウキした声音で、アリスは裸の○○を抱き締め頬ずりする。
しかし、諦観に満ちた面持ちで彼女を抱き返す○○には大きな懸念があった。
最近、虫除け目的で始めた女装が、やけにこり始めて来たのである。
毎日変わった、アリスの趣味剥き出しなドレスのラインナップ。
果てには女のボディラインを作り出す為の矯正具から、高価な化粧品の数々と化粧の仕方まで教え込まれた。
流石に男女の関係の時間は男として扱われるが、食事や趣味の時間は女装である事が多くなっている。
「うーん、でも矯正具はきつくて付けるの面倒でしょ? ……骨格からどうにかならないかしら」
ファンシーな天蓋付きベットに寝転び。
情事後の自分に寄り添うアリスの言葉が、日に日に入れ込み過ぎている事に気付く度、○○の気持ちは憂鬱になるのである。
果たして、自分は何時まで『男性』として生きていられるのかと。
手段と目的が入れ違っているアリスに、もの申せる度胸など○○には無かった。
最終更新:2013年04月01日 18:41