「あっ・・・・・・」
さほど驚きはしなかった。あの時、一瞬見えた鳥を象った光はきっと炎だったんだろう。
あぁ、俺はこのまま二度と歩けないんだろうか。現状を理解することよりも、ただ絶望感が俺を襲った。だって、足の感覚が無いってことは・・・、
「ちなみに今足の感覚が無いでしょう?あのままにしておいたら起きた時に激痛でまた気絶すると思って、応急処置の合間に足に大量の麻酔を打たせてもらったわ」
・・・そうだったのか、よかった。でも、この被害の大きさは・・・
「あの、応急処置や麻酔を打って下さったということは、あなたは医者なんですか?」
「ええ、そうよ。ここの説明はしてなかったわね。ここは永遠亭、薬の処方や治療なんかを主にしているところよ」
「(病院みたいなもんか・・・)そ、それで、この怪我は治るんですか?」
「フフ、心配しなくても大丈夫よ。ここの薬はきっとあなたの思っているのよりずっと強力だから」
「ほ、本当ですか!?」
「ただし、時間はかかるわよ。軽く見て、立てるようになるのに一か月。完治には三か月は必要よ」
「治るなら一年だって待ちますよ・・・(父さんと母さんは心配するだろうけど・・・くそ、なんで山遊びなんか!)」
「わかったわ。それじゃあ、これからよろしく・・・ええと」
「あぁ、紹介が遅れました。俺は〇〇というものでして・・・」
ドンっ!と突然爆発のような音が〇〇の言葉を遮った。
「お、お師匠様!妹紅さんが彼に会わせろと言って突入して来ました!」
頭に大きなうさぎ耳?を生やした女の子が慌てた様子で扉を開け入って来た。
「・・・そう、ごめんね〇〇さん。少しここで大人しくしていてね」
そう言うと彼女は立ち上がり外に出て行った。
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「だ~か~ら~!怪我をさせちゃった相手の様子を見に来ただけだって言ってるだろ!」
あれから半刻も経たないうちに騒動は解決した。どうにも、見舞いに来たら入口に落とし穴が仕掛けてあり、それにかかるのを茂みからムカつく顔で見ている小ウサギがいたので、派手にぶっ壊してやったところをさっきの大うさぎが勘違いした・・・との事らしい。
・・・こういうのがこちらの世界のデフォルトなのだろうか。恐ろしい。
「それで、あなたが昨日竹林に居た・・・そう、〇〇っていうのか。すまなかったな、その・・・こんな事になっちゃって・・・」
俺の足を一瞥しながら申し訳なさそうに白髪の女の子は言う。
「いや、俺もあんな所に居たのが悪いんだし・・・そんなに気にしなくても大丈夫だよ。永琳先生が言うには三か月の辛抱らしいから」
出来る限り笑顔で言う。この女の子を罵倒したって状況は変わらない。逆に、自分のせいだと思わないと事の大きさに発狂してしまいそうだ。
「そ、そうか?それなら良かった。・・・・・・三か月・・・・・・三か月・・・・・・(ブツブツ」
納得してくれたのかな?なんだか小声で言っているけど。
すると女の子は閃いた!って感じの顔をしてこう言い放った。
「よし!お詫びと言ってはなんだが、その三か月間毎日ここにお見舞いに来るよ!してほしい事があったらなんでも言ってくれ!」
こうして彼女、藤原妹紅と俺、〇〇の永遠亭生活三か月間が幕を開けた。
最終更新:2013年06月23日 11:06