それからというもの、特に表立った出来事は無く、一週間が経過した。
彼女、藤原妹紅はその一週間の間にホントに毎日見舞いに来てくれた。というか、住み込んでるんじゃ?と疑問になるくらいにいつも傍にいてくれた。
本人に聞いてみると、俺が寝たら家に戻り、まだ俺が寝ているであろう早朝にまたここに足を運んでいるんだとか。
事は事だが、女の子にそこまでしてもらうのは心苦しい。と、言ってみたところ、

「・・・これは私の贖罪なんだ・・・。頼む、迷惑だと思っていないならこのままで居させてくれ・・・」

こんな事を言われてしまった。あっちに居た時は周りをお婆さん年齢が取り囲んでいたので、こういうお願いに対して耐性がない俺は断ることができず、仕方なく首を縦に振った。・・・その時の彼女の笑顔は凄かったな。吸い込まれるように美しかった。
だがしかし、流石に休憩なしで傍に居られると心配して気が気じゃない。と言ってみると、

「その点は、心配ないよ。私は蓬莱人っていう・・・なんだろう、不老不死って言えばわかりやすいかな。とにかく、そういう類の人間だから、たかだか三か月くらい休憩を取らなくてもヘバったりしないから!」

これまた輝くような笑顔だったので俺は一応納得することにした。



そして、二週間が経過したある日の出来事、

「痛っ・・・」

この日も妹紅は傍に居てくれた(彼女にしつこく妹紅って呼んでいいよ。と言われたので、今では名前で呼んでいる)。
いつものように世間話をしていると、小腹が減ったので・・・えーっと、うどんげさんだっけ?大きなうさぎ耳女の子が置いてくれたパンを食べていると、

「ん?お腹空いたの?じゃあ、見舞品のリンゴ剥いてあげるよ」

と申し出てくれたので、好意を受け取ることにしたら早速指を切ったみたいだ。

「あっ、妹紅大丈夫か!?ちょっと見せてみろ」
「え!?だ、大丈夫だよこのくらい。私蓬莱人だから一瞬で治っちゃうし」
「そういう問題じゃないんだよ」

そう言って妹紅の手を取る。

「っっっっっっっっっっっっっっ!////////」

なんか妹紅が硬直した気がするが、今は手に集中する。
・・・本当だ、もう傷が跡形も無くなってる。

「あぁ、大丈夫そうだな。良かった」

妹紅の方に顔を向けようとするとバッ!と手が引き抜かれた。妹紅は反対側を向いている。

「だっ、だから大丈夫だって言ったろ!・・・ちょっと血洗い流して来る!」

そう言うと扉を乱暴に開閉して外に出て行ってしまった。
・・・少し強引過ぎたか・・・大丈夫と言っていたのに・・・ハァ、俺の馬鹿野郎。



ハァハァハァ・・・つい逃げ出してきちゃった・・・〇〇困ってるかなぁ。
でも、〇〇が悪いんだからね。私の気持ちも知らないであんな大胆な事するから・・・。

ふと、〇〇が心配してくれた指先を見る。

〇〇が触ってくれた・・・〇〇が・・・〇〇が・・・私の・・・私の〇〇が・・・

妹紅は無我夢中で指先を銜えた。己の出した血液を取り込みながら。

「・・・んっ・・・はっ、ちゅうっ・・・・・・ぷはっ・・・あぁ・・・〇〇・・・〇〇ぅ・・・」

誰もいない洗顔室では暫しの間、愛でるような吐息音が発せられていた・・・。

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最終更新:2013年06月23日 11:10