夢を売るのは簡単だ。ようは、相手の望んでいる事を言えばいい。
例えそれが嘘でも関係ない。どうせ自分の幸せしか考えてないクソ共だ。気付きゃしないさ。
「ふぅ、結構稼いだな。1,2,3,4・・・おぉ!こりゃ何日かは遊んで暮らせるな!馬鹿な奴もいるもんだwww」
俺の名前は〇〇。ついさっき占いの館(笑)で大枚を稼いできたところだ。
今回は珍しく当たりを引いたみたいで、酔っぱらった馬鹿な女が占いの結果に満足してチップとして金を置いて行った。
(まっ、楽して金稼いでるような奴から楽して金稼いでも罰は当たらんよな)
俺の住処は山ん中にある。毎度、資金調達に都会に行ったりするが、基本は稼いで帰る。俺にとって都会は住みにくい。どこが?と問われれば知らん。と返すが、何か合わないのだ。・・・生理的に、というやつか?
ブロロロロロロロロロッ・・・・・・。スクーターでそれなりに舗装された山道を走る。
「あぁ?こんな道遠かったけか?」
疑問に思い、スクーターを降りて辺りの確認をしに行く。
(おかしい・・・こんなに道が荒れてるはずはねぇ)
一度戻ろうと思い、振り返ると・・・、
「はっ、はぁ!!??」
辺り一面が獣道になっていた。
(ふ、ふざんけんな!俺はこの道を来たんだぞ!ありえねぇ!)
とにかく、来た道に沿って走る。
「お、おかしいだろ!なんでこんなことに!」
・・・・・・ゼェゼェゼェ、な・・・なんでなんも無いんだ・・・。
走ること十分程、ほとんど同じ景色の中を動き回った。しかし・・・木や草以外ほとんど目に止まる物は無かった。
(・・・マジかよ、天罰が下ったとでもいうのかよ・・・)
〇〇は木に背中を預け、頭を垂れた。
どれくらい時間がたった時のことだろうか。
ガサッ・・・ガサッ・・・、と茂みから音が聞こえる。
(な、なんの音だ?人間か?いや、こんな暗闇の中で人間が動き回るはずねぇ。ということは・・・獣!?)
〇〇の頭の中ではそう認識した。しかし、体が動かない。
(・・・・・・なんで・・・体が動かないんだよ?・・・くそ、こんなところで死ぬのか・・・)
〇〇は諦めた。そして・・・バッ!と茂みからそれが姿を現した。
「ここだぁ!ここからスルメの匂いがする~!」
は?状況が理解できない。目の前に現れたのは、まだ幼そうな女の子だった。だが、その頭には角のような物が二本、左右から突き出している。
「クンクンクン・・・おっ!あんたか?このスルメの美味しそうな匂いを出しているのは!?」
少女はズズイッ、と近づいてきた。
(スルメ?・・・あぁ、確か帰りの途中にコンビニで買って一房食ってポケットに入れてたっけ)
ガサゴソとポケットを漁り、スルメを取り出す。
「おっ、それはまさしく私が求めているスルメ!どうだい人間、それを私に分けてくれないかい?」
「(人間?)あぁ、別にいいけど・・・全部やるよ。ホレッ」
そう言って投げて渡してやる。
「ホントか!?随分と気前がいいな!じゃあ、遠慮なく!・・・・・・って、あんたはここで何してるの?」
首を傾けて聞いてくる。
「え?あぁ、恥ずかしい話で迷子だよ、はは」
「ふーん、・・・あんた、もしかして霊夢が言ってた外来人って奴?」
「外来人?俺は生まれも育ちも、ここ日本だぞ?」
「日本?ここは幻想郷だよ?」
「幻想・・・郷?日本にそんな地名あったか?」
「その様子だと、やっぱりあんたは外来人みたいだね。う~ん、外来人は霊夢が連れて来いって言ってたし、どう?お兄さん。私と一緒に来る?元居た場所に帰れるかもよ?
「何!?本当か!?」
「もっちろん!鬼は嘘をつかないんだよ!スルメのお礼もかねて博霊神社までしっかりおくり届けるよ!」
「(鬼・・・ってことは、あれは本物の角なのか・・・)あぁ、それじゃすまないが、その神社まで頼むよ。・・・おっと、自己紹介がまだっだったな。俺は〇〇だ、よろしく」
「私は萃香、鬼の伊吹萃香だ!よろしく、〇〇!」
最終更新:2013年06月23日 11:28