「話さないといけない・・・こと?」
わけがわからない、〇〇のことはなんでも知っているつもりだ。日常会話で年齢、趣味、好きな食べ物、思い出話や・・・昔好きな女の子は居たかとか、etc...
寝た後に家に帰った。なんて嘘をついて、〇〇の寝顔を眺め続けた。言ってしまえば私が〇〇の傍を離れたことは無い・・・昨日を除けば。
「実は昨日・・・妹紅が帰って来なかった時に、永琳さんに言われたことなんだけど・・・」
「っつ!?」
なんてこと・・・タイミングがぴったりだ。
「まずは率直に言う。俺は・・・今日あっちの世界に帰るんだ」
「!?な、なんで!?怪我が治るには三か月かかるって言ってたのに!」
「あぁ、同じところで俺も驚いたよ。・・・なんでも、俺は常人に比べて基礎回復能力が高いらしいんだ。搬送された直後にはわからなかったらしいが・・・。まぁ、その回復能力が薬で何倍にも増幅されて、見た目はこんなだが内部はもうほとんど治ってるらしい・・・そうですよね?永琳さん」
「えぇ、そうよ。加えて言うと、あの時症状があまりにも酷かったから麻酔を大量に投与した・・・いままで足を動かせなかったのは怪我のせいじゃなくて、麻酔の効果のせいよ」
「なっ!?」
「私は彼に悪いことをしたと思ってるわ。だから博麗神社に払うお金は永遠亭が肩代わりすることにしたの。本当はもっと早く伝えたかったんだけど、あなたが片時も彼の傍を離れなかったから・・・偶然あなたがいなかった昨日話したのよ」
ということは・・・外の世界に帰ることを唆したのはこの女なのか。許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!!!
「それと・・・彼はこのことをあなたに話さないつもりだったのよ」
「え・・・なんで?なんで〇〇!?」
「すまない・・・妹紅。昨日、妹紅が帰ってしまったときに、君を傷つけたと思った。その時にちょうどこの話を聞いて・・・もう妹紅を傷つけたくないと思ったんだ。この怪我をさせたのは妹紅だけど、妹紅はあれから毎日お見舞いに来てくれた。そんな君をまた傷つけるくらいなら・・・って」
「そんなこと!そんなこと私は思ってないよ!〇〇を嫌いになんてなってないし、いなくなってほしいなんてことも思ってない!」
「・・・すまない、俺はその優しさに甘え続けてきたんだな・・・本当にすまない。足の炭化したところはあっちの世界の外科手術で切り取ってもらう予定だ。だから、もう・・・俺のことを気にしてくれなくていいんだ。・・・さようならだ・・・妹紅」
「そんなんじゃないよ!私は!私は〇〇のことが・・・」
好きだから!・・・そう言いたかった。そう言いたかったのに。
「もう準備が出来たみたいよ・・・行きましょう。〇〇さん」
輝夜・・・今更、今更出てきて私たちの邪魔をするつもり!?なんで?なんでそんな奴について行くの?〇〇、〇〇、〇〇・・・。
「やだぁ!行かないで!行かないでよ!〇〇!〇〇!〇、〇・・・!」
涙が溢れ出てくる。なんでこっちを向いてくれないの?〇〇・・・なんで・・・?
・・・そして〇〇の姿は見えなくなってしまった。
「悲しいでしょうけど、これは全部あなたの為にしたことなのよ。それよりも鴉天狗の件を・・・」
「うるさい」
博麗神社に着いた。・・・俺はここから帰れるのか。
・・・妹紅・・・いや、もう彼女のことは忘れるんだ。それがお互いの為でもあるんだ。
「あなたが〇〇さんね?それじゃあ、ちゃっちゃと終わらせちゃうからそこに立ってね」
「あ、はい」
言われた場所に立つ。・・・、・・・、・・・、・・・、・・・おかしい、なんで何も起きない?
「あの・・・霊夢さん?」
俺は振り返り、名前を呼ぶ。
・・・しかし、そこに霊夢さんはいない。居たはずの場所には灰が積もっており、その傍には・・・。
「〇〇、迎えに来たよ♪」
「も、・・・妹紅?なんでここに?霊夢さんは?いや、それよりも永琳さんたちは・・・」
「あはは、いったい誰かな?その人たちは?この世界には私と〇〇しかいないよ?」
「な、なに言って」
「そんなことより、〇〇に食べてほしいものがあるんだ。さっきとって来たばかりだから新鮮だよ♪まさか食べたくないなんて言わないよね?〇〇は私が傷つくことをしたくないんでしょう?さぁ、〇〇・・・」
妹紅が近づいて来る。・・・あぁ、そうか・・・妹紅は・・・壊れて・・・・・・。
最終更新:2013年07月02日 08:32