そんなこんなで俺は朝から観光をしている。場所は・・・妖怪の山だっけ?うん、いかにもな地名だな。
萃香が言うには、ここは天狗が取り締まっていて普段人間は立ち寄れないが、「鬼の私がいれば大丈夫!」とのことだった。何が根拠なんだろう・・・そういう関係なんだろうか?
しかし・・・いい景色だ。違う季節もきっと綺麗なんだろうな・・・。
「ねぇねぇ」
「ん?はいはい」
「〇〇ってさ、外の世界で何してたの?」
「何って・・・何?」
「え~と・・・う~ん・・・職業?」
「考えてなかったのかよ。それは・・・」
どうする?俺がしていたのは世間的に言葉にするなら詐欺師。でも、そんなこと言えば嘘を吐く仕事してましたって言うようなもんだ。
しかし、適当な職を言っても結局嘘に・・・。
「どうしたの?」
「いや、なんて言葉を当て嵌めていいか・・・あっ、そうだ!占いだ。占いをしてた」
「占いって・・・おみくじみたいなものだよね?」
「う~ん、正確には違うんだが・・・」
「それなら私のことも占ってよ!」
「え?」
・・・もちろん言われることは予想していた。一応、詐欺をするにはそれなりの知識は取得しているので可能ではある。
「じゃあ、手貸してみ?簡単な手相なら見てやるから」
「え、えぇ!?手・・・手?」
「・・・どうした?顔赤いぞ?大丈夫、神社出る時に手は洗ったから」
「そういう意味じゃ・・・(ボソボソ」
「ん?どうした?」
「な、なんでもない!はい!」
手を差し出してくる。・・・ふむ、これまた小っこいな。そういや、鬼の手相と人間のは同じなのか?・・・・・・あぁ、割と同じだ。
「え~っと・・・おぉ~恋愛線が目立って長いな。ここまでのは初めてみた。というか、生命線が異常だ・・・」
「えっ!?れ、恋愛線!?どんな内容なの?」
「ん~、長いのは長らく見てないから曖昧なんだが、確か愛情で恋が実る・・・だったかな?・・・まず、鬼って恋するの?数少ないんじゃ・・・」
「愛情で・・・愛情で・・・愛情で・・・(ブツブツ」
なんかうわ言のように呟いてる・・・きっと意中の相手がいるんだろう。そっとしとこう。
・・・そういや、自分の手相は最近全然見てないな・・・覚え始めの時は「運命線がはっきりしてる!」とか言って喜んだが、結局大きな人生の変動はこれといって起きてないな・・・。
今はどんな・・・うん、運命線は相変わらずで・・・おまけみたいに女難の相が・・・場所が場所だから冗談に受け取れないな・・・まぁ、深くは考えないようにするか。
「そこのあなた達!待ちなさい!」
凛とした女性の声が聞こえる・・・効果早くないですか?神様、仏様。
最終更新:2013年07月02日 08:47