「お~い!チルノ~!」
・・・辺りは静まり返っている。
「・・・バーカ!」
「バカって言った方がバカなんだ!」
「いや、出てきちゃ駄目じゃないか・・・」
「あっ・・・」
はぁ、と俺はため息を吐く。なにせ、ただいまかくれんぼの真っ最中なのだ。
「だって!だって〇〇がバカって言うから!」
「かくれんぼの特訓に付き合えって言ったのはチルノだろ!我慢しろ!終わりゃしない!」
「最強のあたいがバカって言われて我慢なんて出来ないよ!」
「そーかいそーかい!じゃあ大ちゃん達にずっと勝てない最強でいいんだな!」
「だって・・・だってぇ!」
「だってもヘチマも無い!だって禁止!」
「だっ・・・「禁止!」
「うぅ・・・じゃあ、どうすればいいの?」
「耳とかふさがないのか?」
「途中で終わりになったら気付けないじゃない」
う~ん、と二人で頭を悩ます。こいつは難問だ。
「とりあえず・・・俺もう帰っていいかな?朝からかくれんぼやって腹へったんだが」
「なんで!?〇〇もっとやろうよ!」
「いや・・・よく見ろよ。太陽がもう半分以上沈んでる。俺は人間だから完全に暗くなる前に帰らないといけないんだよ」
「それならあたいが守ってあげるから!」
「んなこと言ってもなぁ・・・」
「あれぇ?チルノちゃ~ん!〇〇さ~ん!何してるのぉ?」
おや、あの子は・・・
「大ちゃん!?ちょうど良かった!後頼んだ!それじゃ・・・」
「あぁ!〇〇!・・・・・・・・・」
「・・・ひっ!?チ・・・チルノちゃん?」
「・・・しょうがないか・・・大ちゃん、かくれんぼやろう!」
「う、うん!わかったぁ!」
「ヂルノちゃ~ん!どごぉ~!」
大妖精の涙混じりの声が泉周辺の森に響く。おそらく、長時間探し回ったのだろう。
「まったく、大ちゃんはだらしないなぁ」
「!?ヂルノちゃん!?」
すぐ近くの木の陰からチルノが出てきた。これ程近くにいて気配を悟らせなかったのだ。
「ぐずっ、全然見つけられなかったがら、もういなぐなっちゃったのがと・・・」
「あたいがそんなことするはずないじゃない!大ちゃんは心配性だなぁ」
「・・・ぞういえば、なんでこんなにかぐれるの上手なのに、〇〇さんと練習じてるの?」
「それはね・・・秘密だよ!でもね、大ちゃん・・・このことは〇〇の前で言っちゃ駄目だよ?」
「え?なんで・・・」
「あたいはね・・・まだ大ちゃんと親友でいたいからさ・・・」
「〇〇!あたいの特訓に付き合いな!」
「あぁ~!朝っぱら呼びに来んなよ!バカ!」
「また言った!バカって言った方がバカなんだ!バーカ!」
「お前だって!言ってんじゃねーか!」
本日も湖上は二人の喚き声で賑わっている。
最終更新:2013年07月02日 09:19