「ふふ……」
何だか、少しおかしくなってしまった。普段は、家と花畑。二つあわせた敷地外からはほぼ出ないのに。
それなのに、普段着の種類は中々多くて、お洒落な物ばかりなのに。
うって変わって、今外出するために着ようとしている服は。
どうにも野暮ったくて、こんなのがうちに合ったのかと言いたくなる位。愛想もこいそも無い服だった。
「笑ってないで、早く着替えて」
「余裕が無いね、何か今着せようとしてる服みたいに」
「当たり前よ、外は危ないから」
それは、幽香の好戦的な性格が原因ではないのかと。そのせいで人妖問わず敵が多くて。
そのせいで、外に出ると色々と荒っぽい厄介ごとに巻き込まれる物だから。相手をするのが億劫になって、それで半ば引きこもりなのでは。
そんな言葉が、喉の奥にまでこみ上げたが、黙っておく事にした。
「まったく、向こうがこっちに来ればいいのに」
「それをやっちゃったら、希望する者には全員やらなくちゃならないからだよ。僕等以外にも、人は大勢いるから」
幽香は○○を着替えさせる手を休めずに。そうね、と言っただけだった。
顔付きから察するに、多分納得はしていないのだろう。
それでも、例え納得していなくても。こうやって、ある時が来ると毎回毎回。
こうやって、渋々ながらでも外に出ようとする幽香を見ると本当に安心する。
何だかんだで、彼女はまだまだ正気だ。本当に狂気に犯されていたら、外の事など気にかけない。
「はい、出来た。○○、私の手歯絶対に離しちゃ駄目よ。いざとなったら貴方を抱えて逃げれるようにしないと」
「そうだね、何があるか分からないから」
「じゃ、行きましょう。選挙に」
映姫「12月16日は衆議院選挙の日です。皆さん、尊い権利の存在を忘れずに」
幻想郷選挙管理委員会からのお知らせです。
最終更新:2013年07月02日 09:23