霊夢/16スレ/520
初詣。
これは、自由と外界を目指す者達にとっても同義である。
諦めたら試合終了とは安西先生の言葉である。
バスケ好きな外来人の青年は言った。安西先生、外の世界でバスケがしたいですと。
まぁそれはさておき、姫始めよりも初詣を先にするのは何故かと言えば彼らは脱走者である。
一斉に階段を駆け上がり、外へ通じる唯一の出口である神社を目指す、目指す、目指す。
年始めから一体何をやってるやらと思う人も居るかもしれないがこれが彼らの生きる希望なのだ。
諦めた連中は自分の嫁と新年早々臥所で頑張っているか、澱んだ目付きで手料理やらおせちを食べている頃合いである。
「絶対に、ヤンデレなんかには負けない!!」
そう叫ぶ彼らの先には、行く手を塞ぐ嫁達の姿が―――。
「うー、腰が痛い」
年越し蕎麦食った後、霊夢にせがまれて姫始めとしゃれ込んだのが拙かった。
普段は無重力なのに閨では全てを吸い込むような吸引力を持つのが霊夢の女の性である。
本人はチラホラとやってくる参拝客を見ながらホクホクしている……肌も艶々だ。
「今年も色々大変だろうなぁ……あ、ありがとうございまーす。御神籤はこちらになりまーす」
境内の脇に特設した販売所で○○は御神籤やら破魔矢を売っていく。
しかし、御神籤は兎も角、妖怪が破魔矢やら絵馬を買っていくのはどうだろうか?
旦那がフラフラかボロボロ、嫁は艶々か期待に満ちた面持ちのカップルという謎の構成の参拝客だらけだ。
まぁ、○○は気にしない。
参拝客の大半が旦那の初脱走を阻止したついでに、博麗神社に『子宝祈願』や『夫婦円満』を祈願していくのだ。
と言うか、この神社って縁結びの御利益あったかな?と○○は思う。
賽銭箱の後ろでニマニマ笑っている巫女の更に後ろ、書き立ての達筆で書かれた看板にそう書いてあるんだから多分そうだろう。
「ヤンデレには……勝てなかったよ」
嫁に引き摺られていく旦那の呟きを、○○は聞かなかった事にした。
感想
最終更新:2019年02月09日 18:57