数年前に幻想郷へ迷いんだ外来人の青年〇〇を寒さに堪えながら霧の湖の近くを歩いて博麗神社へと向かっていた。
(年が明けて早いもので、一週間以上が経った。
正月は里の人達と一緒に騒いで二日酔いになり、迎え酒してまた騒ぐと言う怠惰な生活をしていた。
そして気がつけば、もう七草粥を食べていたが大切な事を忘れていた…。)
「いやはや、初詣を忘れていたとは。でも今くらいが宴会もやってないだろうし、ゆっくりと御参りして帰る時のためにちょっと賽銭を弾めば霊夢も喜びよな?」
そう独り言を呟いていると…。
ミシミシミシッ…。ボコンッ!!
〇〇が居る所と反対側の畔の凍った湖の表面の氷が音をたてせり上がり湾曲に割れた。
余りの大きな音で突然な事に少し驚いた〇〇だが、直ぐに(あぁ…誰かが弾幕勝負をやっているのだな。)と思っていた。しかし、その現象は〇〇の方へ向かって来た。
ミシミシミシッ…ボコンッ!!ミシミシミシッ…ボコンッ!!
いよいよ身に危険を感じた〇〇だが、逃げだそうにもいざそうなると直ぐには動けなかった。
しかし、その現象の正体は意外なものだった。
「あ、こんな所に居た居た。神奈子~、〇〇を見つけたよ~。」
「待ちくたびれたし、捜したよ〇〇。」
そこに現れたのは妖怪の山にある守矢神社の二柱の神である諏訪子と神奈子だった。
二柱とも「やれやれ」と言わんばかりの表情している。
「か…神奈子様に諏訪子様?また派手な登場ですね。でも、捜したって…?」
「あ~う~、忘れたの?年末にウチに『初詣に来る』って行ったの。でも年が明けて三が日過ぎても来ない。」
「里にも行こうにも中々、神社を離れられなかったしね。でも、ようやく今日ある程度暇になったから捜してたのさ。」
「あ…あぁ~…そうでしたね。(すっかり忘れてた。)」
少しホッとした〇〇は世間話をしていると。
「突然だけど〇〇。今年の干支は何かわかるかい?」
「え?今年は確か【巳】ですよね?」
「そう【巳】だ。蛇ってね一見、邪みたいな感じがあるけど本来は不老不死や再生を司るのだよ。」
突然〇〇に質問をして、それに答えると急に〇〇の両肩を決して離さないかのように掴み、まるで蛇が獲物を捕らえる時みたいな文字通り【蛇の目】で〇〇を見据えて力説する神奈子。
「ねぇ〇〇知ってる?凍った湖の表面があんな状態にせり上がって割れるのを〇〇達人間は【御神渡り】って呼んで男神が女神へ所へ行く『恋の道』って言われているの。逆もまた然りだよね。」
諏訪子もまた〇〇の首に腕を回して抱き着き耳元で囁いた。
普段の神奈子や諏訪子から感じられない何か蠱惑的な雰囲気に〇〇は困惑と恐怖感を覚えた。
「さてと、それじゃ行こうか?〇〇、神奈子。早苗が待っているし。」
「そうだね。ただ、今年は私の年みたいだから私が決定権あるよね?」
「わかっているよ。」
「「さぁ〇〇、これからずっとずっと一緒だから…ね?」」
二柱に抱えられ妖怪の山へ飛んで行った〇〇。
翌日の文々。新聞には御神渡りの事が記事になったが、〇〇が里へ帰って来ないことは一切触れらてない。また守矢神社に新しい男神が誕生した新聞が出るのはしばらく後の話である。
最終更新:2013年07月04日 10:36