都市伝説と聞いてピコーンと


ある日ある日森の中森の中でっかいババに出会った

「ぽっぽぽ…ぽっ―――!!」
「ぐはぁ!!」

ババのモンゴリアンチョップを喰らい昏倒した俺を助けてくれたのは文とはたてと椛だった。
三人にもみくちゃにされながらも神社に行き霊夢に相談する。
あのババの妖気がなんだかまとわりついているようで気味が悪かったからだ。

「あー、魅入られたと言うか呪われたわね」

想い人の耳掃除をしながら、物凄く投げやりな調子で霊夢は断言した。

「そこの箪笥の一番上にある御札を適当に持って行って今夜一晩物忌みをしなさい。
 誰が訪ねてきても扉を開いたり窓を開けてはダメよ。取り殺されるから……フッ! はい、今度は右耳ね」

感謝の言葉と共に金子を彼女の前に置いた。スゴイスピードで回収された。

その晩、◯◯は自宅の出入口や窓に札を貼り付け物忌みをしていた。
三人は一緒に入って護衛すると言ってきたが友達をこのような事態に巻き込むのは気に病む事だと辞退した。
そして真夜中となり、ウツラウツラとしていた◯◯の耳に声が聞こえた。

「◯◯さーん、もう大丈夫ですよ。此処から出てきてくださーい」

邪気を感知する鈴がチリンチリンとなる。
あれは……文の声であって文ではないのだろう。

「出てきてくださいよ。私の事嫌いにブハァ!!?」
「何私の声真似してやがるのよこの悪神もどきがぁ!!」
「そうよそうよ! ◯◯さんを祟り殺そうだなんてふざけてるにも程があるわ!!」
「死ね、死になさい私の◯◯さんに危害を加える奴はみんな死ねぇ!!」

物凄く弾幕で打ちのめしたり何かをボコったり切り刻んだりしている音が外で聞こえる。
やがてあの忌々しいババの断末魔の叫び声が聞こえた後、辺りはすっかり静まり返った。
思わず喉を鳴らしてつばを飲み込むと、とんとんと戸が叩かれる音がした。

ドンドン「◯◯さん、もう大丈夫ですよぉ」
トントン「◯◯さん、大丈夫だよ。私が悪い奴やっつけてやったから」
トントントントン「◯◯さん、安心してください。悪神は滅ぼしました。邪魔はまだ居ますが取り敢えず物忌みを終えても大丈夫でしょう」

何故だろう、開けたらババなんかより遥かに怖い感じになりそうだ。
そんな予感と悪寒に素直に従い、◯◯は物忌みを続行する事にした。
しかしドンドンガンガンと叩きまくり、更には三人で内輪もめまで始める始末。
ヒステリックな怒声を聞きながら、◯◯は便所へと逃げ込んだ。
便所は様式の河童手製の水洗式便所だった。◯◯は汲取式が死ぬほど苦手なのだ。
便座に腰掛け、ふうとため息を付いたその瞬間、ドカンと音が響き戸が吹き飛ぶ音が聞こえた。

「◯◯さぁぁぁぁぁん!!」
「どこに居るのぉぉぉぉぉ!!」
「出てきてくださいぃぃぃぃぃ!!」

三人は家探しを始め、直ぐ様◯◯がトイレに居ると突き止めた。
◯◯は霊夢から渡された切り札的な御札をトイレの壁に張った。

「◯◯さん、早く出てきて。私、もう我慢出来ない」
「あいよ」
「◯◯さん、出てこないとあの念射のネタ新聞に出しちゃうよ?」
「あいよ」
「◯◯さん、あの悪神に止めを刺したのは私なんです褒めてください耳を撫でてください」
「あいよ」

そうやって札で誤魔化している内に、◯◯は窓から外に出て家から逃げ出した。
本当にババは倒されたらしく邪気は消え去っていたが、◯◯にはあの三人が纏っている雰囲気の方が恐ろしかった。
夜道を夜駆けし普段懇意にしている里外れの寺へと助けを求めた。事情を聞いた住職は深く頷くと◯◯を離れへと案内した。

「では、ここに隠れるといいでしょう」

離れに入った◯◯は驚いた。なんと、離れの中は自宅の居間と瓜二つだった。
振り返ると住職と寺の住人達が笑顔を浮かべて立っていた。どことなく、あの三人と同じ雰囲気で。

「ずっと、何時までも、お隠れになって結構ですよ。永遠に匿ってあげますから……」

離れの戸が閉まり、ガチャンと鍵がかかる音がした。

こうして◯◯はババと三人の天狗の脅威から逃れたのである。めでたしめでたし

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最終更新:2013年10月22日 15:00