スレタイ「守らせて」より、白玉楼勢
○○君……起きてるかな……?
あ、起きてましたか。
おとと……駄目ですよ、まだ寝てなきゃ。
傷がまだ完全に塞がって無いんですから……
ここ?
ここは私が住んでいる白玉楼です。
○○君が来るのは初めてでしたっけ?
しかしビックリしましたよ。
女の子を庇うために一人で妖怪に立ち向かったなんて。
ああ、あの時の女の子は……ですか?
……あの子なら無事です。私の半霊を使って人里に送りましたよ。
……全く、折角のデートの約束をしてたのに、怪我なんてしちゃったら台無しじゃないですか。
これからはあまり無茶しないでくださいね?
そうだ、おなか減ってますよね?
何か食べたいものはありますか?
お粥ですね。
分かりました、すぐに作るのでちょっと待っててください。
※※※
……○○君を盗もうとした泥棒猫はケダモノに喰われたし、○○君に怪我をさせたケダモノは斬り捨てたし……
これで一安心かな。
ふふっ、○○君が死んじゃったら死んじゃったでここには住めるけど、
やっぱり介護にかこつけてあれこれしたいし、こっちの方が良かったわ。
……さて、真心込めてお粥を作ろう♪
※※※
あら、ようやくお目覚めかしら?
私?
私の名前は西行寺幽々子。
この白玉楼の主であり、妖夢のご主人様よ。
妖夢?
ちょっと急な用事が出来たから人里へ向かわせたわ。
そうそう、そんなことより、お粥を持ってきたわ。
はい、あーんして?
やだ、恥ずかしがっちゃって……可愛い人ね♪
その身体じゃ動けないでしょ? 遠慮しなくてもいいのよ♪
※※※
……駄目よ、妖夢。
あの子を自分のモノにしたいんでしょ? やるなら徹底的にやりなさい。
でないと、また他の女の子に取られちゃうかもしれないわよ?
それに、万が一事故なんかが起こって、死んだ後で火車に死体を運ばれちゃったりしたら、私でも取り戻せなくなるわ。
そうね……
あのまま目を醒まさずに永遠の眠りに就いてくれたら良かったのだけど、起きてしまった以上は仕方ないわ。
どうすれば良いかって?
食事に少しずつ、白玉楼の火で焚いたものを混ぜていくのよ。
襲われたとき傷口に菌が入ったということにしとけば、体調が少しずつ悪くなっていったとしても気付かれないわ。
貴女の望む通り、介護にかこつけてあれこれ出来るわよ?
さあ、『善は急げ』よ。
お粥は私が作っておくから、貴女は人里へ行って○○さんの為におかずを買い足してきなさい。
……あら? 私が○○さんを横取りするんじゃないかって?
そんな事しないわよ。
従者の一途な恋を応援するのも、主の務めでしょう?
―――黄泉戸契(ヨモツヘグイ・ヨモツヘグリ)
―――黄泉の国の火で、煮炊きされた食物を食べること。
―――黄泉戸喫を終えると、二度と地上の国には戻れない。
最終更新:2013年11月02日 01:28