「それで、試薬の方はどうかしら?」
「大丈夫です、既に被験体を使用して効能を確認しています」

そう、と無表情に呟く永琳
その場所、地下に作られたと思しき研究施設には怪しげな装置があった
と、ゐにが運ぶストレッチャーがやってきた
拘束服を着せられて、縛められた◯◯は薬で微睡んでいた
その様子を見た無表情の永琳が顔を近づけ、深く絡めるように口付けた
その次に熱に浮かされた生娘のような面持ちで、鈴仙が濃厚にくちづける
その性根に対しては珍しく、罪悪感と行き過ぎた情愛の篭った控えめな口づけをてゐは行った
椅子に固定され、薬液を点滴されながら、眼前の白板に映写機で表示される画像を◯◯は夢現な目つきで見つめ続ける
ロールシャッハテストの如くスライドしていく画像は、◯◯と仲睦まじい三人の生活が延々と移されていた
【月の住人で夫婦である永琳と◯◯、その従者の鈴仙とてゐ】という設定で
永琳は、◯◯の肉体が月人に変異していくのを見守っている
視覚情報と脳内の精神における変異を利用した、◯◯の情動を高める事で自分たちの望んだ◯◯を作り出す装置
◯◯が自分たちを愛してくれればくれる程、彼は彼女らの理想の◯◯となる


本来の◯◯と、なぜ、彼を好きになったのか
他者の好意からによるねじ曲げられた愛情で、純粋な愛情とは異なる方向に関係を歪めてしまった事
それが、果たして正しいのか。◯◯を意のままにする事が、本当の意味での共愛といえるのだろうか
その本末転倒さを指摘するモノが居ない限り、月人の◯◯が完成するまで実験は続けられるだろう

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最終更新:2014年10月30日 19:04