僕は、幻想郷からこの世界に帰ってきた。

幻想郷、そこは人妖入り乱れる奇々怪々な土地であったけど、意外と交流が盛んで、種族を超えた交流なんて普通って感じだった。

そんな事もあってか僕にできた彼女は人じゃなかった。けど、とてもよくしてくれたし、僕の精神的な支えにになってくれた。時々、僕に対して行う異常なまでの愛情表現には困った物だった。
 作ってくれる食事に、自分の一部を入れたり、勝手に人の布団に入り込んで来るのはいい方。四六時中視界のどっかにいる事なんてザラ、挙げ句の果てに自分のやることほっぽりだして、僕のとこに押しかけて来た時なんか、身内の方が連れ戻しにきて、結構な大喧嘩をやった最後に聞いてるこっちが顔真っ赤になるようなセリフをばらまいてんだから、流石にあん時は身内の方に泣いて謝ったような。まぁ僕もそれだけ大事にされてたって事かな。

 ある日僕は、外にいる家族のために彼女に別れを告げた。
 その時は身内の方とやり合った以上に、荒れた。
 最初は、彼女は冷静に説得してたけど、途中から暴力的に訴えだし、最後は泣きつくように請うて来た時は少し心が揺らいだ。
 でも最後まで一貫して意志を曲げない僕を見て彼女は、強烈な一撃をお見舞いして、泣いて出て行った。その時の傷はこうして思い出にふけってっていると今でも疼いて来る。
 
 思い出にふけっているとこんな時間になってしまった。
 早く寝よう。

 コンコン

 ん?母さん?僕はもう寝るから何かあるんだったら明日にしてくれ。

 ガチャ
 
 母さん、 明日にしてくれって言ったじゃないか聞こえなかったのか?

そう言うおうと、壁に向けていた頭を扉の方に向けた。

 そこには到底信じられない物が映っていた。

 彼女がいたのだ。僕の家族の首を持って。

 僕は、頭が真っ白になった。どうして彼女がいるんだ。どうしてこの世界に来れたのか、どうして彼女が僕の家を知っていたのか。

そして どうして 僕の家族の

首を持っているんだ?

僕が、唖然としていると彼女は嬉しそうに喋り出した。

幻想郷からこの世界に抜け出して来た事、僕の家を調べる為に骨を折った事、そして自分への愛を。

僕は、そんな事より彼女の持っている物について聞こうとした。すると、聞くより前に話してくれた。

「だって、○○さんと私の仲を引き裂くような輩、いなくなってしまえばいいんですよ。○○さんだって本当はうっとしいと思ってたんでしょう?きっと、優しい人思いの○○さんの事だから、扶養の義務とか感じて家族を優先してたんですよね?でもそんな事もう考えなくていいんです。何も考えなくていいんです。何でも私○○さんにしてあげますから。○○さんは私の事だけ考えてればいいんです。」

僕は怒りにまかせて、言い終わる前に彼女に向かって殴り掛かった。しかし、軽く去なされ、抱きかかえられる形になってしまった。抵抗するが所詮は人間、無力な物である。

「あはっ。○○さんそんなに私の事好きなんですか!良かった私も○○さんの事好きですよ。さぁ一緒に幻想郷に帰りましょう」

僕は彼女の締めを食らい、薄れゆく意識の中で、もっと早くこうなる事が予測できていたんじゃないかと後悔の涙を流すしかできなかった。

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最終更新:2016年03月29日 20:47