彼は裁判官四季映姫の部下である。
そのため四季が裁判をする際には、一緒に法廷に臨むこととなる。
ここでの裁判は全てが総括される、唯一にして最後の最高裁判所であり、
外界の都合三回も-あるいはそれ以上-繰り返される裁判とは異なり、
一回の裁判で全てが決まってしまうため、中々魂だけになっても、
活きがいい者が多い。
それは生き汚さの表れでも有るかも知れないが、結果
矢鱈と暴れる者がいる。地獄行きと宣告されて、単に暴言を吐いたり、
暴れたりするだけならば、地獄の獄卒達も給料分は堪忍をしてくれるだろうが、
時には脱走したり、あまつさえは周りの者に害を加えんと、乾坤一擲の大勝負に
出る者もいる。
そうなった場合の対処は大体二通りある。
一つは単純に死神やらが取り押さえる場合、
もう一つは、裁判官がその場で即決の断罪を行う場合。
死神が取り押さえた場合は、大抵何も無かった事と同じようになる。
多少はねじ伏せられるだろうが、刑が重くなる訳では無い。御役所仕事の名の下に、
他の罪人と同じように、粛々と地獄に連行されるのみである。
しかしもう一つの即決断罪の場合は、訳が異なる。
外界では三権分立として、司法と行政-つまり罪人を裁く裁判官と、
罪人を捕まえる警察や検察は分かれているのだが、あいにく幻想郷の裁判官は
人手不足の所為か、現行犯に限るが、罪人を拘束して、裁判にかけて、
処罰することが出来る。勿論どんな石頭よりも固い、規則とやらに決められた
範囲内で処分になるが。
ところがそんな規則でも、馬鹿と鋏は使いようとでも言わんばかりの、利用の
仕方がある。
「法廷を侮辱した者は、法廷侮辱罪に処す。」
「法廷侮辱罪は、懲役、灼熱地獄、又は消滅の刑に処す。」
「裁判官は、法廷侮辱罪を現に犯した者に対して、その刑罰又は同等の刑罰を
その場で与えることができる。」
これら三つの神器が揃えば、先程書記官に襲いかかった、累刑九犯、殺人、強盗、お手の物な
霊魂は、四季の殺傷能力が付与された弾幕によって、塵も残さずに消え失せる事となる。
付け加えるならば、法廷侮辱罪に関しては、裁判官の裁量が大幅に認められているため
-なにせ、大岡越前と同じ立場なのだから-
部下思い(!)な四季は、一寸でも彼が危ないと思えば、容赦なく弾幕を叩き付けるのであった。
最終更新:2016年03月29日 21:22