永琳女史の診察カルテ3


院外処方について

 永琳は永遠亭で診察をしているが、本職は薬師でありその薬の
効き目は、幻想郷一と噂される程である。因幡が毎日籠に薬を入れて
人里へ行商をするため、診療所へ来る人間は少ないが、その日は
珍しいお客が来ていた。
 「師匠、女性が来ています。」
普段なら受付の因幡が声を掛けるが、この時は優曇華が女性を案内していた。
人里に居る彼氏が具合が悪いので、是非薬が欲しいという。永琳は優曇華に内線を
掛けさせた後、女性の話を聞くこととした。

「彼の名前は?」
 「○○さん。20代の男の人で写真はこれ。」
「どこが悪いの?」
 「二三日前から、咳とクシャミと鼻水が出て。」
「熱は?」
 「三十七度五分」
「他の症状は?」
 「特に無いわ。」
ここまでの診察で永琳は診察を打ち切る。
「多分只の風邪でしょう。」
 「あら、薬でも頂けるかしら?」
「貴方の方が良く効くでしょう?」
 「此方の薬が良く効くって、妹紅に紹介して貰ったから。」
そして永琳はカルテを閉じる。
「三日後に来て貰えたら、薬を渡すかどうかお伝えします。」
 楽しみにしています-と言って彼女は帰ってゆき、永琳は優曇華に指示を出す。
「文屋に複写した写真を渡して、彼がどんな人か調べておいて。」

 そして三日後、また女性がやって来る。
 「お薬は頂けるのかしら?ついでに最近害虫が鬱陶しいから、農薬も欲しい所なんだけれど。」
「お生憎様、ビタミン剤だけよ。」
あら、どうも頂くわ-重い袋を受付に渡して彼女は帰って行く。
上機嫌に愛用の日傘をクルクルと回しながら。

 永琳は情報を取り寄せた烏天狗を、内々に呼び寄せ結果を伝える。
永遠亭は風見優香の要請に応えて、人里と同じく支持をする。但し積極的に援助はしないと。
恐らく明日の文々新聞の一面には、「花畑の妖怪、血みどろの三角関係?!」とでも載るであろう。
方々から静観を取り付けた幽香が、害虫を駆除している写真が掲載されるかは確約できないが。

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最終更新:2016年03月29日 21:57