正義のカード
「ええ、○○、貴方は少し、いえ、とても罪深いのです。」
そう言って閉じた部屋の中で、四季映姫は僕に告げる。一体
僕が何をしたというのであろうか?しかし彼女には全ての
ことがルールに反しているように見えたようだ。
「貴方は生まれながらに罪深いのです。ですから私が貴方を
正しい方向へ導かねばなりません。」
一体僕が何をしたというのであろうか?生まれながらに罪を
背負うのはどう考えても可笑しいのではないのか、そう言って
僕は彼女に問いかける。
「○○、私が神なのです。私がルールなのです。私が
貴方の存在を決めるのです。即ち、白と言えば白、黒ならば黒と
いうように。」
お前は狂っている、そう僕は言ったのであるが、彼女は全く
動揺一つ見せない。羊を導く羊飼いのように彼女は僕を導こう
というのであろうか。
「私が狂っている、貴方がそう言ったとして、私がそうではないと
言えば、そうではないのですよ。」
僕の正気はお前が保証できるようだが、じゃあ一体お前の正気は
誰が保証できるんだい?そう問答を吹っ掛ける僕に、彼女は答える。
「私の正しさは私が示します。そして貴方は其れを受け入れる。
今はまだ貴方にそうしていませんが、貴方は私に従うようになります。
私は神なのですよ?」
力ずくでないと人一人納得させれない神なんぞ、しょぼい神様だと
悪態を吐いた僕に、彼女は残念そうに言う。
「神を試すものではない、というのは異国の言葉でありますが、
まさにその言葉を贈りましょう。○○、何故神は悪魔よりも
人を殺すのか知っていますか?」
思考回路が全て彼女に塗りつぶされながら、彼女の居る空間への
一体感を感じる。
「人は神の創作物であるからです。神が創りし物は、神がどう
しようが勝手ですよ。」
最終更新:2017年01月01日 21:17