「ねえ○○…あなたは幸せ?」
「あぁ、幸せだよ」

 聞くだけならば出来たてのカップルや新婚ホヤホヤのセリフにしか聞こえないだろう。
糸と女の腕で絡まっている男の姿さえ気にしなければ。

「中々大変ですよね」

 と、幻想郷在住3ヶ月目の○○さんは言う。

「最初は向こうの一目惚れでしてね…
 いやぁ、毎晩人形に監視されてたり本人に監視されてたり怖かった」

 ―それで、プロポーズはアリスさんから?

「そうですね。
 アリスに無理矢理押し切られる形でしたよ。
 いやぁ…アリスの目がボォっと光ってて怖かった」

 ―あぁ…なるほど。
  でも、そこからどうして現在までに?

「まぁ確かに束縛欲だの、依存だのよく言われるじゃないですか。
 でもね、それもそういう愛の形って思い始めたんですよ」

 ―洗脳されてるんじゃないですか?(笑)

「かもね(笑)。
 でも実際、里の女性とかと親密になったりとかさえしなければ凄く優しい妻ですからね」

 ―それって中々難しいんじゃないですか?

「そりゃまあ、仕事しようが何しようが女性には会ってしまいますからね。
 だからアリスに限界のラインを決めてもらってます」

 ―自分で決めましょうよ(笑)

「自分で決めると甘いラインになっちゃうから(笑)。
 幻想郷は美人さんがやたら多いからね」

 ―おやぁ…爆弾発言?

「あー…今の発言はカットで(笑)。
 参ったな…今夜は何される事やら」

 ―是非宜しければ夜の生活についても取材を(笑)

「駄目駄目。
 人形による奇襲を避け続けながら取材できる自信があれば別だけどね(笑)」

 ―なるほど…じゃあ後で文さんに取材のお願いでもしますか(笑)

「止めてくれよ××。
 命がいくつあっても足りんぞ(笑)」

 ―そうですね。 お疲れ様です○○さん。

「××さん、取材終わりました?」
「はい、文さん。
 バッチリです」
「じゃあ今夜は新聞を簡単に作ってその後パーティーですね」
「そのパーティって文さんだけがお楽しみだったりとか…」
「しますね」
「そうですか…」
「新しいネタのために頑張りますよっ!!」



「○○…終わった?」
「ああ、終わったよアリス」
「私たちの赤裸々な生活が明日には幻想郷中を駆け回るのね…」
「ざっくりとしか聞いてこなかったからそれは無いと思うよ…?」
「じゃあ次の取材までにもっと特ダネを用意しましょうか」
「アリスサン、エガオガコワイカラヤメテホシイナー」
「大丈夫よ…死なない程度に加減はするから」


 重い愛と言うのはいくらでも聞くけれど。
軽い愛と言うのは一体どういうものなのだろうか。
我々花果子念報はその謎に今日も迫ろうとする。
次号 「管理人と橋姫に直撃インタビュー!? 余裕と嫉妬の境界線」に続く

はたてさん? 新聞出来ましたか?」
「△△…完成したわ! これで文と××を見返せるわよ!!」
「お疲れ様です。
 これ、お茶とお菓子です」
「その前に…ご褒美として△△が欲しいな」
「待って下さいはたてさん今朝も結構頑張ったんですから
何なんですかその目つきは徐々に近づいてこないでください
やめて下さいやめて下さいこっちににじり寄ってこないでぇぇぇー!!!」

P.S.
人間と妖怪の奇跡の結晶!?
~子作りのイロハ、教えちゃいます!~
も付録として鋭意製作中!!





 相手の種族を変えてでも生涯を誓うもの。
自分の中に相手そのものを取り入れる事で愛を達成するもの。
相手を支配し、思うままにする事で愛を手に入れるもの。

 皆、様々な方法で愛を得ようとする。
それこそが真実の愛と信じて。

 だが真実の愛とは何なのか。
それ以外はすべて偽物・作り物の愛なのか。
それは人間だろうと、妖怪だろうと、神様だろうと分からないものだろう。

 それは長い歴史を見てきた私でさえ分からない。
明晰な頭脳を持つ者に聞こうとも、
数多くの本を読む者に聞こうとも、
絶大なる力を持っていた者に聞いたとしても、分からなかったのだ。

「また俺と慧音を元に変な歴史作ってる…」
「…良いじゃないか、お前と私の仲だろう?
 それに今ここにいる私とお前には影響もないし。
 で、どうした?」
「夕飯出来たよ…あとその歴史は今度の満月に消しといてね」
「勿体無いな…分かった、すぐに行く」

 それでも、
この恋人と一緒にいるときはそんな疑問も吹き飛んでしまうようだ。
なら、それが真実の愛で良いじゃないか。

「「「「一生好き。 私の、私だけの旦那さま」」」」

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最終更新:2017年01月09日 21:42