炎が迫る中、さとりは探偵に問いかけるが、○○は自分の
矜持を捨てようとはしない。
「ねえ○○さん。どうしても私が嫌ですか。」
「こんな状態になっても、魂は売らないと。」
「そう、○○さんがそんなに嫌がるなら、思い知らせてあげましょう。」
さとりの姿しか見えないが、探偵の足が持ち上がる。さとりが探偵の
上半身をもっているため、まるで担架に乗せられているようである。
「ドア開けて。」
「りょうかーい。」
銃を構えた親族が待ち構えるドアを開られ、堂々と自分とさとりが通って行く。
いつ鉛の散弾が自分に叩き込まれるかと、力が殆ど入らないながらも身を固く
していた探偵であったが、自分達が横をすり抜けても、親戚はそっぽを向いた
ままである。まるで自分達が見えていないような状況に、○○の頭は疑問で溢れる
が、そのまま空を飛んでいく。
「ねえ、お姉ちゃん、あいつらやっていい?」
「貴方がすると跡が残るから、今回は駄目よ。お空に任せなさい。」
「はーい。」
透明人間と物騒な会話をしながらも、探偵達が飛んでいくと、二匹の
妖怪が待ち構えていた。
「あ、さとりさまだ。」
「さとりさま、その人ですか?」
「そう、この人を今から連れて行くわ。
地霊殿へ。」
嗜虐に満ちた笑みを浮かべながら、さとりは探偵に語りかける。
「今から妖怪しかいない所に○○さんを連れて行きます。勿論○○さんが
そこら辺を歩いていれば、一時間もしないうちに取って食われることは
保証しましょう。でも大丈夫ですよ、私の家にいれば、○○さんをペット
として飼ってあげますから。」
「そう、ペットですよ、ペット。私の物です。」
「地霊殿で私に全てを委ねて生きて行くしかないんですよ。楽しいですね。
直に○○さんも、外の世界を忘れますよ。」
「ふふ、大好きですよ、○○さん。」
最終更新:2017年01月09日 23:02