「よー妹紅いるかー?」
「おーいるぞー」
そうお決まりの文句を言いながら彼女の家に入る。
戸を開けてこちらを向いた瞬間彼女は血の気が引いた顔になって言った。
「ま、○○!手から ち、血が出てるぞ!」
あまりにも大きな声だったのでそっちの方が驚いたが、手を見てみると確かに血が出ていた。
出ていたと言っても滲むようなものだし痛みも感じなかったので気づかなかった。
「と、とにかく止血だ!早く傷口を心臓より上に上げて!そ、それと包帯も巻かなきゃ!」
なんだかよく状況が飲み込めずボケっと突っ立っていたが、凄い剣幕で「早く!」と言われて思わず手を上げて、寝かされ、されるがままに包帯を巻かれた。
「よし!とりあえずこれで大丈夫だな。それじゃちょっと行ってくるよ」
「え?どこへ?」
「どこへって、そりゃあ○○、永遠亭に行って薬を分捕ってくるに決まってるじゃない」
そう言って勇ましく戸を開ける彼女を急いで止めた。
万が一にそこから病気でも入ったらどうする!人間なんて簡単に死ぬんだぞ!なんて息巻く彼女をなんとかなだめて家に連れ戻す。
傷一つで彼女が殺し殺されるかもしれない永遠亭に乗り込む理由にはならないし、さすがにこんな傷で人は死なない。
最近彼女はずっとこの調子だった。ちょっとよろけると大丈夫か?!肩につかまれ!なんて言うし。
腹を下した時なんて永遠亭に乗り込んで薬を片っ端から分捕ってきたこともあった。心配してくれるのは嬉しいが心配し過ぎだった。
まだ納得がいかない妹紅に無理やり話しの流れを変える。
「それよりさ妹紅、先生がちゃんと栄養を取るようにって野菜をくれたんだよ」
土間に転がってる野菜の束を指差す。
「もー私自分でもちゃんと栄養を取ってるのに、慧音も過保護だなー○○もそう思わない?」
妹紅がそれ言うの?と思いながらも一応同意する。
「そうだ、○○これでもつ鍋やらない?」
断る理由もなかったのでよばれることにした。
「それじゃ○○私はもつを取ってくるから他の準備よろしくねー」
そう言って彼女は家を出て行った。
鍋を二人でつつく。
「もつはな、健康に良いからどんどん食べろよ」
そんなことを言いながら彼女はどんどん小皿に鍋を移す。
「へーもつってそんなに体に良いんだ?」
「そうだぞーもしかしたら蓬莱人なみに長生きできるかもな」
最終更新:2010年08月27日 10:38