私は庭師 あなたの庭師
あなたの守護者 あなたの下僕
私はあなたに恋焦がれるが あなたは主人と恋に落ちる
それは一体何故ですか
私に魅力が足りないから? 私は女に見られていない?
私はあなたに恋してる 狂おしいほどに愛してる
けれど想いは届かない 想いは全て庭の外
こんな気持ちを持つべきではない 私の役目は他にある
けれど私は彼が欲しい 主人よりも私のそばに
私の隣に彼が欲しい
私は彼の気を引くために あらゆる手段を講じてみる
化粧をし 色気をつけた
彼は少し驚くが それは気を引くほどではない
料理に薬を盛ってみる
彼は体調崩したが 看病は全て主人がやった
彼に稽古をつけてみた
これが一番良かったようだ
彼は日頃気にしていた 私と主人に守られることに
彼はいつも言っていた できれば他人に頼りたくはない
彼の都合と私の都合 混ざりあいつつ交差する
私の願いが1つ叶った 私の隣に彼がいる
私を想ってこそはいないが 私の隣に彼がいる
私の事を真剣に見つめ 指導を受ける彼がいる
恋人のような甘さはないが 戦友のような信頼感
主人と違う立ち位置に 私は少しの優越感
主人はお茶を嗜みながら 私と彼の剣術を見る
私はそれを横目で見つつ 至福の時を過ごしている
彼の真剣な眼差しと 彼の真剣な表情と
今この瞬間の彼の思考 全てが私のものである
浮かれた恋人達の如く 体を重ねることもなく 愛を囁く事もなく
ただただ2人 刃(やいば)をぶつけ
傍から見れば単なる修行 私からすればこれこそ愛
あなたの刃を待っている あなたの刃を向けて欲しい
あなたの刃をぶつけて欲しい それが私への愛だから
最終更新:2017年02月06日 22:17