「最近仕事熱心なようですね。
運んでくる死者も徳の高い者ばかりで」
「○○さん、ですか?」
「知らないわけがありません。噂になっていますよ。死神が訪ねる家だ、なんて」
「そのことを咎めたりはしません。あなたにも春が来たのですね。おめでたいことです。
でも、もう少し彼の評判を気にかけてあげてください」
「彼にも話を聞きました。彼も悪い気はしていないようですね」
「ところで、一つだけ不思議なことがあるのですが」
「最近妙に貯め込んでいるお金は一体何に使うつもりなのでしょう?」
「彼との関係は、よく話す仲から一歩進展したというところでそれほどお金のかかるようなものではない。彼の話してくれた交際の様子からもそれは明らかです。
彼へのサプライズプレゼントのためかとも思いましたが、人里で訊いても妖怪に訊いてもそれらしい話は出てこない」
「強いて言うなら、薬屋と妙に話し込んでいたという目撃談が聞けたぐらいでしょうか。
あの兎に話を聞いても手紙を師匠に渡したと言うばかりでしたが」
「それほどまでに隠さなければならないとはどのような薬を買ったというのです?」
「馬鹿な真似を考えているのであればすぐに止めて私に自白なさい。まだ実行に移していないのであれば大目に見ましょう」
「小町、何をするのです小町!
こんなことをしたところでーーあぁ!」
「なんてことをしてくれたのですか……小町……」
最終更新:2017年02月06日 22:36