「あ、○○さん」
「おっす、あーやん」
「……その呼び方止めてくださいって言うの、何度目でしょうね」
「さぁな。二桁後半くらいまでは覚えてたよ。
……オーケー、その団扇を首筋からどけてくれないか、あーやん」
「ワタシノナマエハナンデスカ?」
「シャメイマルアヤサンデス」
「……分かればいいんです。
だけど○○さん、どうしてこんな所に?」
「んだよ、人間様が妖怪の山にいちゃおかしいか?」
「おかしくはないですけど……何か用事でも?」
「そ、用事用事。
もみっこが俺のシミ抜き洗濯テクを学びたいとかでなー」
「も、もみっこですか……でもあの子、
仕事が最近立て込んでるみたいで」
「む、最近見かけないのはそういうわけか。
残念……んならどうすっかな」
「そのシミ抜きテク、ですか。
私にも教えて貰えませんか?
取材とかするとどうしても汚れちゃって」
「あー、おま……文も白い服多いし、大変そうだな。
「……あ、そうだ!」
「ん、どしたい」
「私が取材して記事にすればいいんですよ。
そうすれば椛にも教えてあげれます」
「あー、なーるほどなー。
そうすりゃ里のお姉さん方にも俺のナイスさが……あ、なんでもない」
「それじゃあ早速……」
「待て待て、準備にちょいと時間がかかるんだわ。
家戻って支度して、また来るよ」
「それなら私が貴方の家に行きますよ」
「んなっ!?」
「……ダメですか?」
「ダメではない、が」
「なら決まりですね!」
「待て待てい!だから準備をさせろ!掃除とか掃除とか!」
「私は構いませんが」
「お兄さんは構うの!つーわけだから二時間後な!」
「はーい、一時間後ですねー」
「くっ……覚えてろよ!」
「はーい……行っちゃった」
「ねぇ、椛。○○さんのことが好きだ、って言ったのは貴女が先だけど」
「恋は戦争だ、って言ったのも貴女なの」
「どう?何も言えずにただ見ているだけの気分は」
「ふふっ、折角だし、今夜はお泊まりしちゃおうかな」
「涙なんて流しちゃって。そんなに悔しかった?」
「それじゃあまだ時間には早いけど、私行くね?」
「同僚に見つけて貰えるといいですね。それじゃあ、ばいばい」
最終更新:2011年03月04日 01:17