私は空気を読む存在 天候も状況も心境も読む
「あのー永江さん…」
「はい、どうしましたか?」
「実は、その…以前相談させて頂いた件なんですが」
「あぁ、例の里の女性との縁談でしたか?」
「はい、あの件についてなんですが、
考えてもどうしようもないのでぶつかりにいこうかと思います!」
「そうですか…それがいいかもしれませんね」
「やはり永江さんもそう思いますか?」
「ええ、相手は大きな商店の娘、対するあなたは外から来ただけの一般人。
これではまともに正面から彼女の親を説得できるはずもありません」
「そうですよね…」
「だからこそ、駆け落ちを考えたのでしょう?
それはそれで、困難な道とは思いますが」
「でも…僕は…」
「諦めない、ですよね?
何も心配する必要はありません。
あなたの事は見守っていますから」
「ありがとう! 永江さん!」
あなたが一念発起するなら 私はそれを立てましょう
「なんで…どうして…クソぉっ!!」
「迂闊でした…危険な妖怪も居ない方面に誘導したつもりでしたが、
偶然にも前日に露で地面が滑りやすくなっていたとは…」
「クソ…これなら…いっそ僕も…」
「それを彼女は望んでいないと思いますよ」
「永江さん…」
「あなたも彼女もお互いに愛し合っていたのは分かっています。
だからこそ、あなたには生きていて欲しいと、彼女は思っている、と私は思います」
「でも、僕は…もう…」
「大丈夫です、私もただ見守るだけの存在ではありません。
私では彼女の代わりにはならないかもしれませんが…」
あなたが辛いと思うなら 私は慰めに行きましょう
「ねぇ衣玖さん」
「どうしました○○さん?」
「僕の事を見守って、助けて、それに、
恋人にまでなってくれて…ありがとう」
「それくらい、お安い御用ですよ。
それにしてもどうしたんですか、急に」
「いや、なんか今までの事を思い返しただけだよ。
なんかすごく、前より幸せだなーって」
「それでは…今までの事を忘れてしまうくらいに幸せになりましょうか?」
「そうだね、それが一番…彼女にとって良い事だろうから」
あなたが私を好むなら 私はあなたを受け入れます
だってそれは私の仕業 あなたを私に振り向かせるため
さよなら名も知らぬ彼女さん 私は彼と幸せになります
最終更新:2017年02月07日 22:07