八意永淋様へ
最近視線を感じます。
ドコに行くにしてもナニをするにしても、ジィッ……と抉られるような視線を感じるのです。
外から迷い込んだ際に介抱して下さった貴女ならご存知でしょうが、僕はカナリの思想家で、時々ボウーとして何ともなしに天井や景色を眺めることが多々あります。
そうなってしまうと、必ずや少女…?の面影を視認するのです。
そしてハッとして意識を取り戻すと、たちまち霞のように消えてしまうのです。
これだけではありません。
僕は最近低給でいくつかのバイトをしながらなんとか生活をしている身ですが、毎日毎日帰宅する度に
僕とその少女が描かれている可愛らしい絵と
僕が仕事をしている写真と
下手な食事と
紙一面ビッシリの書置きが置いてあるのです。
『おはよう○○!明日早いんだからアンマリ夜更かししちゃダメだよ?』
『今日もおつかれさま、イヤなことあっても気にしないで!私がなんとかしてあげるから!』
『明日は休みだよ○○!晴れたら一緒に散歩しようね!』
『どんな辛いことがあっても落ち込まないで!私がズット見てるし応援してるよ!』
内容自体はこんなふうに可愛げがあるのですが、これが毎日途切れもせず、さらに誰が書いたのかも分からないんですから、恐ろしいことこの上ありません。
しかもこれだけではなく……時にはコンナことまで書かれているのです。
『今日女の人にからかわれてたよね?彼女ナシ彼女ナシーって……。ダイジョウブ、気にする必要ないよ。私がそばに居るから。いつでも、どこでも』
『気づいて貰えなくたっていいよ。私はアナタの隣にいるだけで幸せなんだから』
嗚呼、僕はもうオカシクなってしまいそうです。
最近では仕事仲間にさえ妹がいると勘違いされてしまっています。
この手紙を書いてる今も、キット少女に見られているのです。
貴女のお仕事が精神科の方面ではないことは重々承知なのですが、どうかお助けをくれませんでしょうか……。
ドウカドウカドウカドウカドウカ………………………。
最終更新:2017年02月12日 14:22