<俺はいつだって傍にいる>

「ねえ、○○さん」

<そう、絶対にだ>

「あなたは…私の事を愛してくれてるでしょうか」

<何があっても離れはしない>

「…不安なんです」

<俺は、さとりの味方だから>

「今、そうして私の事を考えているあなたは嘘なんじゃないかと」

<俺は、さとりの恋人だから>

「私の隙をうかがって逃げ出そうとしているのではないかと」

<俺は裏切らない>

「知ってますか? 心にも、薄いところと深いところがあるということを」

<俺はさとりを愛しているから>

「私は…深いところを覗き込んで、結果として他人と触れ合うことが嫌いになりました」

<こうして傍にいるのは証明の1つだろう?>

「例え表面上繕っていても、心の奥底で何を考えているか…
 分からないのが生き物であり、私達という存在でもあります」

<こうして2人仲良くしているのは証明にならないのか?>

「ごめんなさい。
 でも、私は心の全てで私を感じて欲しい。
 信じて欲しい。 愛して欲しい。
 だから…見させていただきます」

『かえしてくれ もういやだ』『おれはかえれないのか』

「やっぱり…でも安心しました。
 予想通りで」

『これいじょうなにをするつもりだ』『おまえといっしょうなんてすごしたくない』

「大丈夫ですよ、○○さん。 なにも怖い事はしません。
 ただ、心の奥底から私の事を想って欲しいだけです」

『ふざけるな』『もういやだ かえせ』

「ふふ…まるで悪い人に捕まった子供みたいな表情ですね?
 生の感情なんて昔は嫌っていましたが…
 愛しい人の感情は例え憎しみに満ちていようとも素晴らしいものです」

『おまえはおかしい』『いかれてる』

「ええ、いくらでも罵ってください。
 私はおかしくなってしまっているのです。
 あなたのせいで。 だから…」

『…!?』『やめろ、おもいださせるな!!』

「あの宴会のときの過ちを私は忘れはしませんよ…?
 あの女の侮蔑に満ちた目、本当にたまりませんでした。
 まさか、酒に酔った勢いで行こうとして間違えて私を誘うなんてね」

『いやだ、まって!』『いくな、いくな!』

「ねえ、もうあんな女は放っておきましょう?
 あなたに必要なのはお互いをどこまでも深く分かり合える伴侶。
 たった1度の過ちであなたを見捨てるような女ではないでしょう?」

『ちがう、ちがう』『やめろ、やめろ!』

「私はあなたを救ってあげられる。
 私はあなたを癒してあげられる。
 私はあなたを許してあげられる」

『……』

「ダメ。 人形になるのは許さない。
 答えなさい」

『!?』『このきおくは…もういやだ…』

「私のものになると。 心から私の恋人になると。
 私の傍にいると。 私を愛し続けると」

『だれか…たすけて』

「私のものになるトラウマか。 トラウマを見せられ続けるトラウマか。
 どちらがあなたにとって楽かなんて、よく分かっていることでしょう?」

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最終更新:2017年02月12日 15:13