「そ、そんな…」
「ごめん、だから恋人とかそういうのは…その…」
「…分かったわ」
「か、勘違いはしないでくれ! 別に、君のことが嫌いなわけじゃない…
ただ、仲のいい友人として居て欲しい、それだけ…」
「友人…ふふっ、やっぱり優柔不断。
分かった。 私はあなたの『友人』としてこれからは振舞うわ」
「我侭みたいで…ごめん」
「あなたは悪くないわ。
友人の過ちを許すのも正すのも『友人』の努めでしょう?」
<あぁ、○○。
今回はこの植物の採集をだな…>
「やれやれ…こんな森の奥まで地図もなしか…
こりゃあ外来人にしか任されないわけだ」
「あら、何をお探し?」
「何でアリスがここに…まぁいいや。
こういう植物を探してる」
「ふーん。
だったら私が場所を教えてあげるわ」
「ごめん、恩に着るよ」
「いえいえ、これも『友人』の努めよ」
<いいですか○○さん! 私はあなたが好きなんです!>
<何言ってんのアンタ!? コイツはアタシのものなのよ!!>
「えぇと…お2人とも落ち着いて…」
<じゃあどっちを選ぶか決めなさいよ!!>
「ひ、ひぇぇ…」
「あら、またお困りかしら?」
「…アリス」
「しょうがないわね…困っている友人を助けるのは『友人』の務めだものね。
ちょっと、あなたたち…」
<あー…よし、○○。
装備はやるから妖怪退治してこい。
あの森の中散策できるくらいの力があれば何とかなるだろ>
「アリスのおかげとはいえ依頼を果たしたせいで
より危ない仕事を押し付けられてしまった…」
<ガルルルッ…>
「うへえ…狼の妖怪なんてのもいるのかよぉ…」
「ごきげんよう○○」
「こっちは最悪だよアリス」
「しょうがないわねぇ…ま、人形達が居れば安全でしょ。
心優しい『友人』に感謝なさい?
ほら、さっさと安全な場所に避難しなさい」
「ありがとう、アリス」
「それにしてもずいぶんとタイミングよく現れるねアリス」
「あなたの行動範囲が私の行動範囲と重なってるのよ。
それにあなたはか弱いただの人間。
誰かが守ってあげなきゃすぐに死んじゃうでしょう?」
「あー…っと、いつもありがとうアリス」
「お気になさらず。
あなたの友人として私はあり続けるから」
私は彼が好きだった けれど彼は私を好かない
そして彼は私の心に 友人の烙印を押す
恋人としていられないなら せめてそうして側に居よう
魔法の森にやってきた 植物求めてやってきた
随分酷い依頼者ね 彼には相応しくない仕事だわ
私は彼の後ろを付けて タイミングよく声を掛ける
そして彼の手助けを 助け合うのが友人だから
今度は里で女に囲まれ 黄色い声を受けている
彼に騒がしいのは合わないわ 彼に合うのは物静かな女
貴女達には合わないから さっさと身を引いたほうがいい
しょうがないから彼女らを説得 しかしこいつらは話を聞かない
ならば仕方ない実力行使 そんなに彼の側がいいのなら
人形にして付けさせてやるわよ
またも森を散策してる 今度は妖怪退治の準備
いくら里人ではないからとはいえ 酷い仕事を与えたものね
妖怪に相対する彼を さっさと呼んで後ろに引かせる
さあ来なさい下っ端妖怪 私の友人に手を出すな
彼は私に感謝する いつもお世話になってる礼
その言葉をもっと側で 聞けたら幸せでしょうけど
だけどいつか覚えてなさい 例え今は友人でもね
関係はいつか変わっていくの あなたの知らないところでね
最終更新:2017年02月12日 15:15