古明地さとりのカウンセリング3
さてさてようこそ、おやお次は珍しくお二人ですか。ふむ、ふむ、そうですね…。それではすみませんが、
お付きの方には席を外して頂きましょうか。なあに、別に取って食いはしませんよ、こういう物は二人っきり
の方が良いというものですからね。
ふんふん、成る程。いやあ、世間からは赤い悪魔の館と言われているあなたの所ですら、トップというは大
変なものなんですね。いや、逆にあなたの様に一流と言われているからこそ、かも知れませんね。周囲の期待
に答えようとして、背伸びをすればするほどに苦しくなると。いやあ、カリスマを維持するのも、人知れずの
苦労があるものなのですね。
ほほう、恋人の男性には、時折自分を曝け出そうとするが、返って幻滅されないかと、不安で出来ないと。
うーん、中々それは気持ちが落ち着きませんよね。人はどうしても他の人に本音を言いたがるもので有りまし
ょうし、それが貴方の様に他に気を許せる人がいないとなれば、それは不安でしょうがないですよね。あなた
のその気持ちも、当然の事ですね。
ふむふむ、うーんそうですね、男性から嫌われない方法ですか、不安を見せても、弱音を吐いても、嫌われ
ない方法ですか…。ふっ、ふっ、ふ、どうやらあなたは少し、気づいていないことがありそうですね。
実は貴方、カリスマが無いのがバレていますよ。ええ、驚かれたかもしれませんが、ホントはバレています
よ。それも全員です。彼にも、ですよ。おや、驚きですか。ええ、あなたは驚いていらっしゃいますが、そう
なんですよ。貴方が時折化けの皮が捲れて、メッキが剥がれることは皆良く知っていること、バレていること
なんですよ。
そうですね、ショックですね。貴方が今までずっと肩肘を張って背伸びをしていたことが、実はバレていた
なんて、しかもそれを見て見ぬ振りをされていたなんて、ショックですよね。不安ですよね、恋人に隠してい
たことが、バレてしまったんですものね。死ぬほど苦労していたことが、実は意味が無かったんですからね。
ああ、大丈夫ですよ。貴方の周囲の人がどう思っているかが、岡目八目として私には手に取るように分かる
のと同じ様に、貴方が弱味を見せた時、どうなるか私には良く、ええ、よーく分かりますよ。なにせ
さとりで
すからね。
実は、何も変わらないのですよ。ええ、信じられないでしょう?でも、実は何も変わらないのですよ。だっ
て、貴方がダメなことは、皆すでに知っているんですから。皆貴方の事を良く知っていて、それでも貴方のこ
とを愛しているのですから。だから、貴方、既に彼からは愛されているんですよ。それも弱い部分を見せても
大丈夫な位に。
それに、彼に弱味を見せれば、返って愛されるんですよ。そうですよね、今まで考えてきたことと、ほんと
違っていますよね、信じられないですよね?でも本当は、愛されるんですよ。どうして、ですか、良い質問で
すね。それは、弱味を見せることが、実は相手を信頼することだからですよ。弱い自分を曝け出すことは、曝
け出した相手の事を信頼していますっていう、言葉にしないサインを送ることだからなんですよ。相手を信頼
すれば、相手もあなたのことを、よく思ってくれるんですよ。完璧なスーパーマンよりも、世話を掛ける人の
方が、逆に愛されるんですよ…。
最終更新:2017年06月15日 22:23