古明地さとりのカウンセリング10

 こんにちは○○さん、いや、こんばんはの時間だったかも知れないですね。どうでしょうか、この環境は。ええ、クソ野郎です
か。まだまだ悪口を言えるほど元気で嬉しいですよ。いい加減、諦めて折れてくれれば、私としても嬉しいのですがねぇ。おや、
偽物だと。そうですか、私を偽物だと仰いますか。しかし、私は思うのですよ、人が個人を特定するのならば、それはそこにある
情報を感じて、そう判断しているだけなのではないかと。だから私が古明地さとりになってしまえば、それはもはや古明地さとり
なのではないかと思うんですよ。あなたが愛していた。


 ねえ、どうして私じゃ駄目なのかしら。どうしてお姉ちゃんだったのかしら。うん、特に理由は無いようだけれど、だけど私が
お姉ちゃんになっても、あなたは私を愛してくれないじゃない。折角お姉ちゃんを×してサードアイを××たんだけれど、能力を
使ってお姉ちゃんと同じ姿になれば、あなたは私を愛してくれると思ったのに、でもあなたは私を否定するだけ。だからこんな場
所に、閉じ込めておくしかできなくなってしまったのよ。あなたが私を愛してくれるなら、いつだって外に出してあげるのに。
 うん、それは駄目。記憶を消してしまうなんて、そんなことは駄目。あなたはそのままで、私を愛さないといけないの。そうで
ないと、私はお姉ちゃんの代替品ってことじゃない。そんなのは絶対嫌。あなたが私をそのまま愛してくれないのなら、他の人に
奪われないように、閉じ込めておくしかないじゃない。だからあなたには、無理矢理トラウマを見せてはいないんだから…。
 あなたに愛して欲しくて、どうやったら人に愛されるかが知りたくてカウンセリングを開いたのに、折角色んな人の問題を解決
してきたというのに、だけれどあなたはやっぱり私を愛してくれない。どうしてかしら。私がお姉ちゃんと別人だっていうなら、
それはもはや違うんだよ。ほら、こっちのサードアイを使えば幾らでも心が読めるし、こっちのサードアイで無意識を操れば、ど
んな人にもなれるのだし。大体お姉ちゃんが私と一つになったのだから、そもそもあなたが私を愛さないといけない筈なのよね。

 ねえ、どうしてかしら。あなたには私しかいないんだけれど、私にもあなたしかいないんだよ。ずっとあなたが好きだったから、
世界で一番に好きだったから、二番目に好きだったお姉ちゃんを犠牲にしたんだよ。あなたも世界で一番お姉ちゃんが好きで、二
番目に私のことも好きだったよね。一番目の人が居なくなれば、私が一番になるんだよ。
 うん、あなたがそう思うのは分かってる。好きな人を殺されて、その人を愛するなんて無茶苦茶だと思う。だけれど、あなたに
そう思われても、たとえそれで今までの関係が壊れても、それでも私はあなたが欲しかったの。絶対に、絶対に。だから、あなた
が諦めるまで、絶対に私は諦めないから。
 ああ、そう、あなたに催眠を掛けるのは嫌だったけど、自殺をしないようにっていう催眠だけは掛けてあるからね。あとは何年
かかろうが、問題は無いんだから…。ふふ、人間の寿命を考えているでしょ。

 「残念でした。」

 妹がこんなにおかしい、狂っているのに、姉だけがまともな存在だなんて、どうしてそう思っちゃったのかな?あんなにもあなた
に執着していたお姉ちゃんが、最後まであなたを諦めなかったお姉ちゃんが、あなたを人間の寿命で死なせるなんてことを、させる
筈が無いって、どうして思いつかなかったのかな。だからあなたはもう、完全に人間じゃあ無くなっているんだよ。 

 ようこそ、私とお姉ちゃんの世界にってね…。

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最終更新:2017年07月03日 20:09