何回何回生まれ変わっても 君の事は忘れられなくて

何回何回休んでも 君は君のままでいて

何回何回やり直しても 君は私を見てくれなくて


「あわわ…大丈夫ですか!? 人間がこんなところで倒れてるなんて…」
「あ、私の名前は…みんなからは大妖精って言われてます。 大ちゃん、で良いですよ」


なぜか君は私の前に 何かの事情でやってくる

5回前は 仕事人

4回前は 物乞いで

3回前は 流れ人

2回前は 流れ弾

1回前は 迷子になり

そして今回は 怪我をした


「人間の怪我の治し方なんて…うーん、とりあえず包帯とか、あれを巻く感じでいいですか!?」
「あ、そうそう、私は妖精なんですよ。 大妖精って呼ばれてる時点で気づいてくれたとは思いますけど」
「それにしてもこの怪我…2日とか3日では治りそうもないですね…」
「そうだ! 永遠亭って所に行ってみませんか? 怪我なら見てくれるはずです」


こうして君に尽くすたび 私は必ず思い出す

以前の私の歪んだ感情 拭いきれずに暴れた私の心

この痛く辛い気持ちを 何回味わえば良いのだろう


「どうでした? …よかったです! 大した怪我ではないんですね」
「とりあえずあなたの怪我が治るまでは私がお手伝いいたします」
「大丈夫ですよ、こういう時は助け合えってよく言うじゃないですか」
「えーと…里の慧音さんって方から教わりました、よ?」


彼を献身に保護して 彼と交流を重ね

彼を意識して 彼に惚れて…

そして いつもの時が やってくる


「どうしたんですか、○○さん」
「ああ、怪我の具合が大分良くなったんですね、おめでとうございます」
「え、ここから帰る方法ですか…」
「うーん、私には分かんないです」


いつものようにはぐらかす 暗に帰れぬことを分からせる

それがいつも無駄だとは 分かってはいるけれど


「そうだ、帰り方を調べるのにはやはり人里に出向くのが一番と思います」
「ということで私も付いていきますから人里に行きましょう」
「ちょ、ちょっとした妖怪なら私でも追い払えると思います」


いつものように出向いて いつものように話を聞き

いつものように決断され また、いつものように…


「…ねえ、どうしてこんなことになるの?」
<妖精が。 彼の邪魔をするんじゃないわよ>
「私は、○○さんと一緒に居たいだけなのに」
<悪いが…こいつは帰りたがってるんでな。 邪魔しないでくれないか>
「毎回、私のことは見向きしないで帰ろうとしちゃう」
<どきなさい。 あなたは彼に相応しくないの>
「私の事がそんなに嫌いですか?」
<寄らば切る。 ○○さんを傷つけさせはしない>
「私はこんなにあなたが好きなのに」
<神に逆らうつもりですか? 妖精さん>
「好き好き大好き愛してる。 だから私のそばにいて」
『恋の狂気に落ちたのね…じゃあ、そのままお休みしなさい』
「ああ、また一回休みになるんだね、私」


ただ君を愛するために 邪魔をしてくる人たちが

一度一度もう一度 私を一回休みにする

そして蘇りまた繰り返す 彼を愛する物語

悪い妖精の恋物語

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最終更新:2017年07月03日 20:48