古明地さとりのカウンセリング6
こんにちは、今日はあまり良いお知らせではないですね。そうですか、せめてお空と別れる前に私に挨拶を、という訳ですか。分
かりました。そうですね、二人のためにちょっとお話をしましょうか。ええ、今後に幸があるように、と。
それではちょっとした心理テストをしてみましょうか。心のなかで階段を・・・・・・
・・・・あなたの目の前に扉があります。光が漏れているその扉を開けましょう・・・・・・
あなたの目の前にケーキがあることを想像して下さい。白い、綺麗なショートケーキです。赤いイチゴが真ん中に一つ乗っていま
す。黒い羽の生えた少女がそのケーキを持っています。あなたはスプーンを持っています。二つに先が割れた固い先の丸いスプーン
を持っています。目の前のケーキは白い甘いショートケーキです。美味しそうなショートケーキです。食べると蕩けるような全身が
痺れるような甘さがするでしょう。あなたが何度も食べたことのあるケーキです。放っておいたら、他の悪い男がそのケーキを食べ
るかもしれません。そんなことは嫌ですよね。あなたの目の前にあるケーキは、あなたの物なのです。あなただけの物なのです。
「他の人がケーキを食べてしまう前に、貴方がケーキを食べましょう。」
ケーキを食べる為には、外に付いているフィルムを剥がす必要があります。それでは一枚、一枚フィルムを剥がしていきましょう。
次にケーキに付いている台紙も剥がしてしまう必要があります。丁寧に剥がしましょう。
さあ、ケーキを食べましょう。ケーキを食べる為に、貴方の持っているスプーンをケーキに突き刺しましょう。中心に深く突き刺
しましょう。柔らかいクリーム色のスポンジに、何度も何度も突き刺しましょう。刺して、抜いて、刺して、抜いて、刺して・・・
ケーキの中心に赤いイチゴが乗っていますね。甘いイチゴを舌で舐めましょう。白いクリームに顔を埋めて、存分にケーキとイチ
ゴを味わいましょう。
ケーキが動いていますね。逃さない様に、両手で掴みましょう。柔らかいクリームを両手で掴み、しっかりと腕で抱きしめましょ
う。逃げないように、しっかりと、強く、強く、強く。
あなたは私が数を数えると、今までの事を全て忘れます。でもあなたの脳の奥深くでは、今のことをしっかりと覚えています。
あなたは目の前にある赤い宝石を見ると、心臓がドキドキして、呼吸が速くなり、今の興奮と快感を思い出します。あなたはそれが
とても欲しくなります。そしてあなたは彼女が自分の目の前から居なくなることに耐えきれません。彼女はあなたのものです。他の
男に渡したくありません。彼女はあなたのものです。そして彼女が目の前から居なくなると、あなたは怖くなります。あなたの心の
奥底で、彼女が奪われる恐怖が表れてきます。あなたはそれに耐えられません。
ですから、あなたはいつも彼女から離れられません。彼女があなたの目の前からいなくなりそうになると、あなたは強引に彼女の腕を
掴みます。絶対に逃してはいけません。腕を掴んで抱きしめてしまえば、彼女はあなたの物です。他の男に奪われる心配はありませ
ん。ずっとあなたの物です。永久にあなたから離れません。あなたはずっと彼女と一緒です。どんな時でも、常に一緒です。
それでは数を数えます。私が一から順に三まで数えると、あなたの頭は催眠から覚めます。そして清々しい気持ちがして、全身で
爽やかな風を感じます。一、全身に力が戻ってきました。二、周囲の音が聞こえてきます。三、さあ、あなたの目が開きました。
どうですか、ご気分は? 清々しいですか、それは良かったです。ええ、そうですね、腕を組んで帰るのが良いですね。
「他の男に奪われないためにも・・・。」
最終更新:2017年07月10日 21:18