古明地さとりのカウンセリング14
いやはや、あなたの様な偉い方が来られるとは、少々驚きました。ええ、灼熱地獄の調子は万事順調ですよ。
ほう、そちらの彼は彼女を窮屈に感じていると。それは当然そうでしょうね。彼女は地獄の裁判官ですから、全てに白と黒を付けるのがいわば仕事ですからね。ええ、
プライベートにまで仕事を持ち込むのは、少々ご愛敬と、いう言葉で片付けられる程には話しは軽くはないようですね。
成る程、白で無いものは即ち黒であると、確かに法律はそうであるのかもしれませんし、生前の罪を裁く裁判では厳密に罪を暴くことが必要であるかもしれませんね。
しかし、それを普段の生活で持ち込まれるといかがでしょうか?地獄の裁判は一回こっきりで終わりますが、生活は一生続くものですので、一々見張っているならば、
それは黒と判断される場面も多く出てくるのではないでしょうか。
そうですか、あくまでも品行方正に生きていれば、黒くは成らないと、そしてそのような善行を積むことが、良い生き方であると…。
いやはや、これはお手上げですね。もはやカウンセラーとしても打つ手は無しと、匙を投げるしかありませんね。いくらカウンセリングといえども、本人が頑なに
信じ込んでいることを変えることは出来ませんからね。ならばもはや、このまま行き着く所まで行き着くしかないでしょうね。しかし人間は弱いですからね、幾ら白に
強制したとしても、グレーに流れることはまま有る物ですがね。ほうほう、それをも正しく導くことことが、あなたの使命だと…。
うーん、男性の方に言えるのはもはや、彼女が変わる見込みはゼロと言うことだけですね。そしてあなたはこのまま矯正されれば、最早人間としての精神を破壊される
ことだけは確実だと言うことですね。最後にとっても残念な事ですが、彼女はそうして廃人となったあなたを、とてもとても大切にするでしょうね。ええ、それが他の人
からどう見られるかはもはや、彼女にとっては白でも黒でもなく、ただ意識の外にあるだけですからね。おや、もし今別れればですか?いやはや、ここまで理性的に狂っ
た彼女がどう判断するかは明白じゃあありませんか。「黒く」なったあなたは「白く」なるまで、×されるでしょうね。ええ、此方としても、投身自殺のように目の前で
人がある種の死を迎えるのは、あまり気持ちの良い物ではありませんから、出来ればご遠慮して頂けると有り難いのですがねぇ…。
最終更新:2017年08月21日 21:23