月都貴人専属医療班、隊長の日記5

9月1日 ドレミーが私の持ち場に出入りするようになった
サグメの連れてきた連中にあれこれ指図している
連中は私の言葉よりも遥かに神妙な態度で聞いている
下手に喋れないサグメの代弁者と言うことか

9月2日 今日もサグメの連れてきた連中は、私が定時に来るずっと前から……
例の玉兎が首を吊らされていた、あのトイレの掃除をしていた

9月3日 空中庭園にて、豊姫様に直談判とまではいかないが
彼女の目を、抗議の意味を持たせながら見つめた
サグメが○○に口付けをしているのが横目で見えた
豊姫様は私とサグメを交互に見ていたが。私にケーキを勧めた
逃げたようだ

9月4日 生き残った部下の一人から電子メールが届いた
最初から最後まで、謝罪ばかりだった
他部署への異動を願い出たようだ
責めることはできない

9月5日 サグメが連れてきた連中が、例の玉兎が殺されたあのトイレを解体しだした
綺麗に作り直すようにと命令されたとの事だ、最高の証拠隠滅だ
私の我慢は限界に近い

9月6日 例の玉兎が殺された証拠を綿月姉妹に突きつけるため、電子カルテを読もうとしたが
一から十まで全てが改ざんされていた。レントゲン写真に至っては電子データも消されていたし、そもそもの原本がどこを探しても無かった
捨てられたのだろう……
開いた口がふさがらなかった

9月7日 あのトイレは既に完全に解体された
だが、そんな特殊な作りをしている訳ではない
空中庭園にあるトイレも似たような作りだ
手書きの治療メモと、トイレの作りを必死に見比べていると○○が入ってきた
目線が安定していなかった

9月8日 あの玉兎が縄をかける事は出来ない
怪我の程度がひどく、仮に意識があったとしても縄を天井にかけれる程の動きが出来ない
電子カルテは改ざんされて、レントゲン写真も全てが消されたが
手書きの治療メモから矛盾を洗い出すことは可能だ

9月9日 空中庭園にて、綿月姉妹に意見書を提出した
依姫様は見ようともしなかった
豊姫様は読んでくれたが、私の提出した文書を私の目の前で破り捨てた
思わず、奇声を上げながら机をひっくり返してしまった
サグメは面倒を感じたのか、○○の肩を抱いて片羽でくるみながら席を立った

9月10日 豊姫様から昼食に誘われた
今、空中庭園にサグメはいないからと前置きがあった。一応、おもんばかってはくれているようだ
しかし……あの資料を作るためのメモ帳を渡すように迫られた
笑顔のままであったが、威圧感があった

9月11日 メモ帳は渡さなかったが、恐らくは時間の問題だ
同期の出世頭がいきなり、私の持ち場にやってきた
いわく、私は綿月姉妹に好かれているから私は大丈夫でも。周りがしんどくなるから、理解してくれとのことだ
そう言って、持ってきたカバンを置いて帰ろうとしたが
目の前で窓から捨ててやった
どうせワイロだ

9月12日 今日は依姫様が来られた
彼女は私の手を握りながら説得してきた
いわく、嫦娥の世話をしてくれるのがサグメしかいないそうだ
また、純狐が攻めてきた時に貴人ながら最前線の指揮をさせた負い目もあるそうだ
確かに、サグメとその従者と言えるドレミーがいなければ。蹂躙されるだけだったかもしれない
だが、それとこれは違う。サグメのやっていることは余りにもひどい

9月13日 実力行使に出られた
綿月姉妹がお供をつれて私の持ち場にやってきた
その場で私は綿月姉妹直属の医務官となり、お供に両脇を抱えられて空中庭園に連れていかれた
姉妹のお供が、私物は新しい持ち場に持ってきてくれたが
手書きの治療メモは無くなっていた
手詰まりである

9月14日 以前、地上に逃げた兵士が出て騒動になったのを思い出した
地上を調査していたイーグルラヴィが戻らない事もあった
今ならその者たちの気持ちが理解できる

9月15日 サグメの機嫌が良さそうだ
何か欲しいものが無いかなど、しきりに話しかけていた
もちろん、サグメは○○に自身の色も与えていた
○○は生け贄なのだ……そして多分私も

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最終更新:2017年08月21日 21:27